“大島薫”として表現することが誰かのためになる
――だいぶ前の話にはなりますが、AV女優になったきっかけと引退した理由はなんですか?
元々二次元の男の娘のエロいイラストを見ていたので、エロは元々僕にとって重要な表現でした。世間では、TVに出ている元男のタレントのニューハーフの方は「○○さんは男の子なんでしょ」みたいに言われている。でもしっかり調べてみると、既に手術も終わって戸籍も女性に変えている。「こんなに可愛いのに男です」というのは、おちんちんが付いていて初めて成り立つので、ちょっと夢がないなと思いました。
自分は男の娘が好きで女装をしていたので、見る方が好きな人達の気持ちも分かります。だから、自分がそういうのを表現していくしかないなと思いました。
僕がAVを辞めても、活動の記録は良くも悪くも残るので、夢は残せるかな、と。確かにそこにそれが存在するということがあるということは、自分にとって必要なプロセスだったのかなと思っています。
引退したのは、AV女優では出ていくことができない場所があったので、辞めました。元だったら、何とか出れるので。
見る人によって男にも女にもなりうる存在に
――大島さんだからこそ表現できること、これから表現していきたいことはなんですか?
ファンの方と対面していて、皆が皆自分に対して夢を持って会いに来てくれているんだなと思います。女の子はもっと男っぽい声で話しているかと思いましたと言う。逆に、男性ならもっと高い声で話しているのかと思いましたと言う。
二次元などに理想のキャラクターがいて、僕が出てくることによって僕を想像して来てくれる。以前、自分のことを書いてくれたライターさんが「大島薫は見る人の欲望を映し出す鏡だ」と表現してくれました。僕もそう思っています。
今回の展覧会も、作家さんによって僕を男と思って撮っている人がいれば、女と思って撮っている人、その間だと思って撮っている人もいる。それを、僕は出来る限りの表現力で表現していくしかないのかなと考えています。だから見る人が見れば、女にもなり男にもなり、そうでもない存在にもなれる。そういった曖昧な存在が大島薫なのかなと思っています。
――最後に、本展はどんな方にオススメですか?
今回は趣味の延長なので、好きにやれる自由感が良いと思っています。入場無料なので、中学生や高校生でも来れるのが良いですね。「僕がいるから来てみよう」と自分がきっかけで、作家さんの作品を見て貰えたら良いなと考えています。
大島薫展は名古屋・大須にて11月1日まで開催中。会期中、大島さんは毎日在廊される予定とのこと。大島さんが気になっている方は足を運んでみてはいかがでしょうか。