石の上にも3年!? たどり着いた樋口家なりのライフスタイル

樋口:まず1歳を過ぎてから、37.5℃超えで呼び出されることが、減りましたね。

実は、今日も息子は風邪気味で、いつ携帯が鳴るかドキドキなんですけど、登園時間ギリギリまで寝かせて普段以上に身体を休ませてから預けるとか、そういうこともできるようになりました。

僕の方の変化でいうと、この間の年末、すっごく久々に風邪を引きました。妻の妊娠中から、風邪らしい風邪はほとんど引かなかったんですけど。

息子は大体、僕の隣で寝たり、まぁ寝相が悪いからアチコチ転がっているんですけど、顔面にクシャミを浴びてね。鼻水が詰まって、耳鼻科へ行きましたよ。それまでは妻ばかりうつされて、僕は何ともなかったのに。

ホッとしたんですかね、以前は「絶対に風邪はひかない!」って、もっと気合が入っていたんですけど。

昔はそんな人間じゃなかったのに、あの子が生まれてからは、インフルエンザの予防接種もきちんと受けて、電車の中でもマスクをして予防して。

でも、とうとう、うつされちゃいましたね。

だんだん、体力も落ちてくる。親の体力も、年齢とともにね。

――息子さんも3歳になられて、ワンオペ主夫生活で張りつめていた緊張感も少し緩められるようになった、あるいは年齢には勝てなくてペースダウンも仕方ない、というところでしょうか。

でもそんな変化を受け容れながら、樋口家のライフスタイルができてきたんですね。

樋口:だって、うちの妻みたいな人を家に閉じ込めておくっていうのは、それは罪だと思うんです。あんなに頭が良くて、仕事もバンバンできる人を、鳥かごの中に入れておくというのは、それは犯罪ですよ。

そういうタイプの人は、男性だけではなくて女性にもいる。反対に男性でも、主夫が向いている人もいると思うし、それは人それぞれ、夫婦ごとにカタチがあると思うんです。

我が家のスタイルが、どこのご家庭にも当てはまるかといったらそれは絶対にナイだろうし。

でもね、家族の在り方も、妊娠から出産、子どもの成長に従って変わってくる。僕だって今でこそこんな風に構えていられますが、息子が1歳になるまでは、正直いってオカシクなってましたよ。

我が家の現在の休戦状態も、日々鍛錬を積んでたどり着いた境地、なんじゃないでしょうかねぇ。

“猛禽類妻”との刺激に満ち溢れた日常を、 笑いも交えて穏やかに語ってくださった樋口さん。

とはいえ今になって思い返してみれば「 完全にオカシクなっていた」時期もあるようで・・・

先日紹介したハピママの記事、「妻たちの闇に震える!?ワンオペ主夫・樋口毅宏インタビュー【前編】」、今回の中編に続く、全3回のインタビュー、次回の最終回【後編】 では数々の文学賞にもノミネートされ、ご活躍だった樋口さんが突如「引退」を宣言した約2年前、産後主夫の“アイデンティティクライシス”について語っていただきます。

ご期待ください!

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。