空前のスケールで実写映画化された『アラジン』(大ヒット公開中)のプレミアム吹替版で、主人公の青年アラジンと自由に憧れる王女ジャスミンの声を担当した中村倫也さん、木下晴香さんを直撃!
お互いの印象、アフレコ時の苦労、名曲「ホール・ニュー・ワールド」歌唱の際の裏話などを楽しく話していただきました。
多彩な演技と表情で多くの人たちを魅了してきた中村倫也さんが、本作では貧しくも清い心を持つ青年から王子となり、街の人々から王女のジャスミン、ランプの魔人ジーニーまでをも虜にしてしまう主人公アラジンを声の力だけで体現。
弱冠二十歳ながら大舞台でメインキャストをつとめてきた新進気鋭のミュージカル女優・木下晴香さんは、その美しい歌声を武器に、吹替え初挑戦の本作で自立心と好奇心、気品を兼ね備えた王女ジャスミンを表現。
そんなふたりが語ってくれた、苦戦を強いられたアフレコ時のエピソード、ジーニーに叶えてもらいたい「3つの願い事」とは?
『アラジン』吹替版、いちばんの楽しみは…
――『アラジン』プレミアム吹替版で、アラジン役とヒロインのジャスミン役の声を担当することに決まったときはどう思われましたか。
中村 自分が携わる仕事で、感じたことのない感動がありました。
いちばんの楽しみは、ジーニー役の山寺宏一さんと声のかけあいができることでしたね。
こんな贅沢な機会はそうそうないですから。
木下 すごく嬉しかったです。
数あるディズニーの作品の中でも本当に大好きな作品のひとつだったので、どこか信じられていない自分がいましたが、ここにいるその状態を噛み締めながら、思い続ければ願いは叶う! ということを実感していました。
声の表現で心がけたこと
――どんなことを心がけながら、それぞれの声を表現しました?
中村 アラジンはジャスミンを誘って一緒にいろんな世界を見て回ろうよという、優しさと強さ、ちょっとした強引さがありながら素敵な体験をさせてあげる…そういう幸せな気持ちやキラキラした感情がいっぱいのシーンになればいいなと思って吹替えをしました。
木下 実写版のジャスミンは、より現代に響くメッセージ性の強い女性として描かれていたと思います。
女性として自立し、自分の足で前に進んでいこうとする力強さ、そして国民を思う優しさをあわせ持つ彼女は本当に魅力的な女性です。
なので、そんなジャスミンのひとつひとつの表情や繊細な部分まで声で表現できるように、精一杯やらせていただきました。
次回同じような仕事の機会があったら、コレは言っておきたい(笑)
――お互いの印象を教えてください。
中村 最初、会う前に、木下さんがジャスミンを演じている声を聞いたんですよ。
そしたら、その声がすごくしっかりしていて、王女さまの凛とした芯の強さと高貴な印象があって。
でも、二十歳だと聞いていたので、スゴいな~、どういう人なんだろう?と思っていたんですけけど、実際に会ったら、佐賀(県出身)の普通の子でした(笑)。
木下 そんなイメージだったんですね(笑)。
中村 うん。等身大と言うか、素朴で素直ないい子だったので、なんか、ちょっとホッとしました。
木下 私は中村さんをテレビなどでずっと拝見していたので、ご一緒するのを楽しみにしていたんですけど、セリフの一個一個の色が違っていたので驚きました。
アラジンというひとりの人間の中にあるいろいろな感情を声だけで表現されていたので、やっぱりすごい俳優さんだなと思いましたね。
中村 (褒めてもらった嬉しさと照れ隠しで)なんか、肌、綺麗になったよね。
木下 えっ(笑)。
中村 どうしたの? 何があったの?
木下 何もないです(笑)。
――アフレコはおひとりずつ録られたんですよね。
中村 そうです。
――どちらの声を先に録られたんですか。
中村 7割ぐらいジャスミンが先でしたかね。
木下 はい。
中村 で、後半ちょこっと俺が先だったよね。
木下 はい。そうでした。
――ひとりずつ録るのは、相手もいないし、リアクションも分からないから特に最初にやる方は難しいんじゃないかな? と思うんですけど、どうでしたか。
木下 すごく難しかったです。それこそアラジンの英語のセリフを聞いて、日本語のセリフで返すという作業の連続だったので、台本をほとんど全部覚えました。
中村 うんうん、そうだね。
木下 アラジンの表情を見て喋りたいと思ったので、アラジンが言っているセリフも一応覚えて、そういうことを言っているんだということを頭に入れてから、画面のアラジンにセリフを返していくという作業でしたからね。
だから、アラジンのセリフが入っていた後半のアフレコは逆にすごくお芝居がしやすかったです。
――そこには中村さんの声が入っていたんですね。
木下 はい、最後の方だけですけどね。
中村 僕はジーニーとのかけ合いのところが同じような感じでしたね。
6割ぐらい僕が先にアフレコをやったので、やりづらかった(笑)。
普段は相手の俳優さんと「会話をしなさい」というのが基本のルールの中で芝居をしているのに、それができないから一生懸命想像しながらやるしかなくて。
だけど、アラジンとジーニーは特にコミカルなかけ合いが多いし、その呼吸やリズム、体温みたいなものはふたりで作っていくものだから、実際にジーニー役の山寺さんの声が入ったものを見たときに、自分でも分かるぐらいノリが全然違っていたんです。
だから「これは録り直しだな」と言って、録り直しました(笑)。
――そのときは、山寺さんの声を聞きながら録り直したんですね。
中村 そうです、そうです。そのときはだいぶ楽でした。これだよね!って感じで。
だから、次にこういう声の仕事をする機会があったら「いちばん最後に録らせてくれ!」って、いちばん最初に言いますね(笑)。