『うしおととら』の『混ぜるな危険』
少年漫画界における不朽の名作『うしおととら』の再アニメ化にも驚きましたが、"筋少"こと筋肉少女帯がその主題歌を担当するというニュースにビックリさせられた2015年のアニソントピック。
そして、いざリリースされた『混ぜるな危険』は、『うしおととら』の作品性と筋少の音楽性の良いトコどりをしたような素晴らしいアニメ主題歌となりました。
『混ぜるな危険』というタイトルの下、繰り広げられる大槻ケンヂさんの歌詞世界と、人間と妖怪のコンビによる退魔モノという『うしおととら』のバディムービー的なコンセプトがマッチしていて、このジャストフィット感がとにかく気持ちが良い!
また、ミュージックビデオにもアニメ本編の映像が使われていて、それも凄くカッコ良いんですよね。
今となっては、このアニメの主題歌を筋少が歌わないで、誰が歌う!? とすら思えます。
数多くのサブカルチャーに影響を与えた筋少とオーケンが、そのソリッドな感性をアニメ作品とのタッグで再爆発させた楽曲です。ファンの贔屓目を置いても、本年度のベスト10にランキングさせたい一曲!
『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』の『キルミスター』
先に挙げた筋肉少女帯のように、今年もロック系のバンド、ミュージシャンがアニメの主題歌を歌ったり、アニメや声優さんに楽曲を提供したり……と、ロック・ミュージックとアニメの交流が積極的に行われました。
そのようなシーンの流れにおいて、そのクロスオーヴァー感を最も先鋭的かつエクストリームな形で体現してみせたのが、『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』ではないでしょうか?
twitter発の人気WEB小説を『キルラキル』のヒットで知られるトリガーがアニメ化した本作。そのエンディングは、各話毎にアーティストと楽曲が切り替わる形式を取っており、しかも、パンク、ヘヴィメタル、ノイズにスラッジ、ドゥームといったオルタナティヴなロックをやっているエッジの効いたバンドが多数参加した特異な作品となっています。
人間椅子やギターウルフのような日本のロックシーンを代表するベテランから、ノイズ・ミュージック代表のMelt-Banana、冷ややかなポストパンク・サウンドが持ち味のLillies and Remainsのような若手まで、ズラリと並んだ参加アーティストの名前を見ているだけでも壮観なのですが、その中から一曲ということで、今回は第一話のエンディング曲であるBorisの『キルミスター』をピックアップさせていただきます。
国内アンダーグラウンドシーンにおける最重要バンドの一組であり、その世界的な活躍で海外の大型ロックフェスにも多数出演、ジム・ジャーッムッシュ監督の映画音楽を手掛けるなど、ワールドワイドな活動を続けるBorisの音楽が、まさかアニメ作品で聴ける日が来ようとは……。
まさに、アニメとロック・ミュージックのボーダレス化の進行速度を強烈に印象付けられた2015年のアニソントピックでした。
『SHOW BY ROCK!!』の『Have a nice MUSIC!!』
ラストは、この曲。『SHOW BY ROCK!!』エンディング曲の『Have a nice MUSIC!!』です!
オープニングの『青春はNon-Stop!』も勿論、2015年のアニメソング史に残る大名曲だと思うのですが、何よりも『Have a nice MUSIC!!』は、タイトルと歌詞が素敵ですよね。
「音楽がスキな気持ち 誰にも止められない」という真っ直ぐな歌詞は、音楽ファンならば非常に共感できると共に、"バンド"という表現活動を描いた本作のストーリーを的確に表現していると思います。
この他にも平易な言葉でピンポイントに作品性と音楽の楽しさを伝えるリリックが続き、その言葉選びのチョイスに驚かされる一曲です。
音の方も瑞々しいメロディで、決して難解なことはやっていないものの、だからこそ音と言葉が直球で胸に飛び込んでくる優れたナンバーに。鍵盤の音も良いアクセントになっていますね。
第二期の制作も決定している『SHOW BY ROCK!!』。次は、どんな曲で魅せてくれるのか、今から楽しみです!
如何だったでしょうか? 今年も素晴らしいアニソンが多くて、やや長めの文章になってしまったことと、10曲に絞り込んだが故に、リストから漏れてしまった楽曲もあることを何卒、ご容赦ください!
こうして振り返ってみると、今年は多様な音楽ジャンルをミックスさせた楽曲や意外性のあるロックバンドを起用した楽曲が目立つと同時に、シンプルなバンドサウンドでメロディ勝負の名曲も数多くあり、音作りのアプローチが大きく二極化したなぁ、という印象を受けました。
来年も、アニソンは、どんな楽曲で我々を楽しませてくれるのでしょうか?