『響け! ユーフォニアム』の『トゥッティ!』

ポップかつメロディックなハードコアなパンクサウンドに、"ンチャンチャ"というスカのビートをミックスさせたスカコア(スカパンク)。90年代の終盤から2000年代の前半にかけて、インディーズシーンで大ブームになった後、ポップミュージックの世界にもスッカリ浸透し、様々な音楽シーンでスカコア調の楽曲が作られ続けています。

アニメソングでも『WORKING!!』の『SOMEONE ELSE』や『となりの怪物くん』の『Q&Aリサイタル』など、スカコアの要素を取り入れた名曲がチラホラと。そんな名曲リストに加えたくなるスカコアなアニソンが今年もリリースされました!

高校の吹奏楽部を舞台に少女たちの青春模様を描いた『響け! ユーフォニアム』の『トゥッティ!』は、まさにスカコアの王道ともいえるスピード感とテンションに満ちた楽曲。吹奏楽部のアニメということで、金管楽器を印象的に使用できるスカコアを用いるというアイデアが素晴らしいですね。

また、トランペットやドラムだけでなく、普通はスカコアに使用しないフルートを使っている点にも、吹奏楽という作品のモチーフを大切にしているのが伝わってきて、とてもおもしろいと思います。

スカ特有のビートに、日本のスカコアムーヴメントを代表する名バンド、POTSHOTやKEMURIのそれを彷彿とさせる「ウォウ! ウォウ!」というパンキッシュなコーラス、そしてそれらを更に盛りたてるホーンセクションの力強い響きが堪りません。

TVサイズでも十分にカッコ良いのですが、2番以降は、ドラムが疾走を始めたり、所謂"ストップ&ゴー"(曲の構成に緩急を付けること)な構成を用いていたりと、パンクロックの旨味が凝縮されているので、できればCDやダウンロード購入にてフルサイズの楽曲を聴いて欲しいところ。

ちなみに、この曲の作曲者は、アニソンシンガー&クリエイターのZAQさん。ZAQさんが持つミクスチャー感覚の凄み伝わってくる良曲です。

『ローリング☆ガールズ』の『月の爆撃機』

女の娘4人組がバイクで日本を縦断しながら各地のトラブルを解決していくロードムーヴィー的な要素を取り込んだアニメ作品『ローリング☆ガールズ』。

序盤から中盤までは、明らかに説明不足なシナリオやシュールな設定のオンパレードに、頭の中に大量の「?」が浮かび続けましたが、実は、それらは計算し尽くされた脚本と演出であり、それらが結実することで、全ての謎が明らかになる終盤の展開が圧巻のアニメでした。特に、最終回のエクスタシーは、ホントに凄かったです……!

主人公の少女たちが困っている人たちを助けるべく、"愚直"という言葉を絵に描いたような、ひたむきな頑張りを見せる姿がドラマの大きな見せ場。

そんな作品に相応しく、"青春"の代名詞的なバンドであるTHE BLUE HEARTSの名曲が劇中では数多く引用されています。

日本のロックにおけるスタンダードともいえるTHE BLUE HEARTSですが、出演声優さんたちによるカヴァーは、オリジナルとは異なるニュアンスで聴くことができて、かなり聴き応えがあります。

改めて、シッカリと聴いてみるとシンプルなのに表現力に満ちたメロディの良さや甲本ヒロトさんの言葉のセンスに驚かされますね。

メインのエンディング曲として使用されていた『月の爆撃機』は、歌のバックで流れるアニメーションも目にとても楽しく、とりわけ強く印象に残った楽曲。未だ観ぬキャラクターたちが次々に登場する演出に、毎回ワクワクさせられました。

ちなみに、この主題歌が収録されたシングルは、紙ジャケでリリースされており、そのデザインが大変にカッコ良いので、こちらは是非ともCDでの購入をしていただければと思います。

『神様はじめました◎』の『神様の神様』

人気少女漫画『神様はじめました』のアニメ化第二期『神様はじめました◎』。大地丙太郎監督によるポップなコメディ描写や出演声優さんの好演が楽しめる良質なラブコメアニメで、今作もとても楽しませいただきました。

その主題歌も、一期からの続投となるハナエさんが担当。オープニング曲の『神様の神様』は、エキセントリックなポップナンバーで、ハナエさんの音楽的表現力が詰まった一曲に。

和風のメロディに「around the world」「I LOVE YOU」といった英詩がミックスされている不思議な楽曲で、それがこの曲に何とも言えない個性を与えています。

この曲に合わせて巴衛たちが踊るダンスもチャーミングでしたね。

この曲の作詞作曲者は、元相対性理論、現Vampilliaの真部脩一さん。曲の魔化不可思議感も凄いと思うのですが、歌詞も素晴らしい!

こういう女性目線のラブソングを男性クリエイターが書けるという点にも感服させられます。