空間とモノのバランスは7:3

掃除の道をつくるのはそう難しくはありませんが、次に、空間のバランスを考えてみましょう。同書では、部屋全体のバランスは「空間:モノ(家具)」を7:3にすべきだとアドバイスしています。つまり部屋の何も置かれていないスペースと、何かが置かれているスペースの比を7:3にするのです。

何もないスペースは意外と大切。ご自身に当てはめてみるとよくわかりますが、予定が一杯でアップアップの時は何かと心に余裕ができません。それと同じで、部屋のスペースに余裕がないと新しいことを始めるにも腰が重たくなります。

よくゴミ屋敷として紹介される部屋には、一歩も動かずに部屋のあらゆることができるよう配置されています。彼らの部屋には決まってスペースというものがありません。それと真逆の発想で、スペースを作りましょう。そうすることで、新たな「流れ」をよびこむことができるのです。

収納にもこのバランスが活かされます(その場合は空間とモノの対比は逆)。例えば、本棚に100冊が収納可能でしたら、70冊分をいれておき、残りは余裕をもったスペースにしておく。クローゼット内の洋服もそうです。ギチギチに服をつめるのではなく、常に3割程度のスペースをつくっておき、収納スペースに「流れ」を作るのです。

ヘヤカツに大切なのはこの「流れ」。「掃除の道が滞り、収納に物が詰まった部屋の最大の問題は、『流れ』が途絶えてしまうこと。人間の脳も、絶え間なく血液が流れ、酸素を運び、二酸化炭素を排出することによってさまざまなことを記憶し、考え、判断することができる」と同書でも語られています。

確かに流れを作ることによって気分がスッキリ。何か新しいアイデアを考える時や、新たなチャレンジについて考える時に、部屋に「余白」があると安心して考え事に集中できますね。

上質なモノと深く親しむ生活

部屋に流れを作ろうとすると、モノを処分する必要があるでしょう。ここで考え直したいのが、不必要なモノを捨て、必要なモノと長く付き合うという姿勢です。不要なモノは今すぐに処分し、あなたにとって大切なモノは何かを考えてみましょう。

同書では「『家具に妥協しない』ことがインプット力を高める」と紹介されています。これは今後、家具を購入する際に参考にできそうです。というのも、あなた自身が気に入った家具は何かと考えたり、もっと良いものはないかと比較しなり、予算を考えたり、実際に購入できる場所を考えたり能動的に動くことが脳の活性化に繫がるのです。

また、安物の大衆品ではなく、「こだわりぬいた美しい製品をひとつでも多く部屋の中に置きましょう。それだけで、安価な量産品に囲まれて暮らして来た人とは、美的感覚に大きな差がつきます」と語ります。

ここで、筆者が気になる美的感覚くすぐる製品をご紹介。ただの家具と思うことなかれ、いつの間にか家具デザインってこんなにも進化していたのですね。

フレシャス・デュオ

まずは、ウォーターサーバーで初めてグッドデザイン賞を受賞し、JIDAデザインミュージアムセレクションに選出された「フレシャス・デュオ」。

ロンドンを拠点にデザイン活動を行うプロダクトデザイナー・安積伸さんがデザインを担当しており、質の高いデザイン性は見ての通り。確かにクールですね……。これまでデザインにこだわったウォーターサーバーというものはあまりありませんでした。

いかにもなデザインのものは、どうしても部屋の中で浮いてしまいます。そんな理由で購入を躊躇していた方もいるのではないでしょうか。しかし、同製品は、部屋の雰囲気を邪魔するどころか、良い意味で存在感を示してくれそうです。「ウォーターサーバーぽくない」がポイントです。