「お子さんはいい子ですね」と褒められて「いえいえ、そんなことないんです。家では我儘放題なんですよ」とへりくだっていませんか?

親バカと思われないために、また良好な人間関係を築くために、謙遜は人間関係を維持するための潤滑油みたいなものです。しかし、子どもの心は?

1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』の著者者の立石美津子がお話します。

他人の子は褒めても、我が子は人前で褒められない

©あべゆみこ

自分の子どもが褒められたら、取り合えず速攻で否定するのに…

よその子に対しては「○○ちゃん、しっかりしていますね」、「○○君はお利口さんですね」なんて自動的に社交辞令の言葉がすんなり出てくるので不思議ですよね。

こんな風に我が子に対しては“素直になれないママ”って案外多いのではないでしょうか。

日本に根付いた“謙遜の美徳”“自分のことよりもまず他人を思いやる気持ち”“和をもって尊し”の文化の影響を子育てするときも自動的に受けているのかもしれません。

自分自身のことを自分でへりくだるのは構いません。どうしてかというと、本当の心を自分が知っているからです。

けれども、自分とは違う人間にするのは?特に我が子に対しては?聞いている子どもは親の言葉をどのように受け止めているのでしょうか?

他人の子どもを優先して我が子は後回し

街中インタビューであるママが答えていたことです。

「ママ友の子どものAちゃんが私に『ねえ、○○ちゃんママ、あたし、絵が上手になったんだよ』と自分の描いた絵を見せにきました。すかさず『まあAちゃん、上手に描けているわ、素敵な絵ね』と褒めました。

すると…我が子が『私も上手いでしょ』割り込んできました。

自分の子どもの絵は家に帰ってからじっくり褒める時間がとれることと“友達の良いところも認める習慣”を娘にも付けて欲しいと思っていたので、『ママは今、Aちゃんの絵を褒めているんだから静かにしていなさい!』と叱ってしまいました。

帰宅後、我が子の絵を褒めましたが、娘は酷く落ち込んでしまい挽回はできませんでした。」

自分が大切にされて、初めて相手への思いやりの心も育つ

生まれてまだ3~4年しか経っていない子どもです。自分のことを認めてもらいたがっています。特に親に対しては強くそれを願っています。

それなのに他人の子を優先し、自分の絵を認めてもらうどころか、自慢して割り込んできたことを叱られてしまったのでショックを受けてしまったのですね。

ママ友との人間関係を優先して“我が子は後回し”にしがちですが、他人の子どもより我が子の気持ちを優先しましょう。Aちゃんの絵を褒めると同時に娘さんの絵も一緒に褒めてあげればよかったのです。

自分が親から大切にされた経験をして初めて“他人を思いやる気持ち“も育まれていきます。

筆者は幼児に指導をしていますが、誰かの発言を褒めると「僕も!私も!」とみんな手を挙げます。先生に認めてもらいたがっているのです。

友達の発言を尊重する躾は小学校に入ってからでいいのです。まず、自分が受け入れられたという経験を幼児期はたくさんさせてやりましょう。