お受験戦争はインドにも!『ヒンディー・ミディアム』
そして9月6日(金)から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国公開されるのが、『アメイジング・スパイダーマン』『ジュラシック・ワールド』などの大作でハリウッド進出もしている国際派スター、イルファン・カーンが主演する『ヒンディー・ミディアム』。
この作品は、インドで過熱する受験戦争をコメディータッチで描いたもの。この作品はインド国内で大ヒットしただけではなく、同じく過酷な受験戦争で知られる中国でも2.1億元(約30億円)の興行収入を収めたとか。
主人公ラージとその妻ミータは、下町の婦人服店を営む夫婦。商売は順調なのですが、二人の懸念は一人娘の教育。わが娘をよりよい人生のスタートラインにつかせたいと思うあまり、二人のお受験熱は暴走し…。
名門校入学のために右往左往する二人の姿は滑稽ですが、そこには子どもを思う親のリアリティーも感じます。自分のした苦労を子どもにはさせたくない、子どもにはいろいろな選択肢を選べる人生を送ってほしい…。そんな親心は万国共通のようです。
特に印象的なのは、お受験教室の講師が「妊娠3か月の時点で、予約を取る人もいるんですよ!」と言うシーン。もちろん誇張はしているのでしょうが、インドの教育熱がそれほどまでに高まっていることに、思わずあ然としてしまいます。
実は近年、Google、マイクロソフト、そしてアドビシステムズなどなど、グローバル企業のトップとしてインド出身者が世界的に活躍しているんです。今作は、そんな世界情勢も下敷きにしているのでしょう。
お受験のために下町からセレブ街にお引越し。それでもうまくいかないとなると、ついには「貧困層枠」なる入学枠を使ってまで、娘を名門校に押し込もうとする二人。身分偽装のために貧民街に引っ越すところから、物語は大きく動き始めます。ラストに、二人はどんな選択をするのか?最後の最後まで目が離せません。
人生とは?教育とは?全編コメディータッチで描かれる作品ですが、その内容は、われわれ日本人にとっても深く考えさせられるものになっています。