すぐに「無理」と言う子には、できないは思い込みと教える

本書では、夏休み中に50メートルを泳ぎ切るという目標を立てたものの、「自分には無理」と言って、途中で投げ出した子どもの姿に、頭を悩ませている親のエピソードが取り上げられています。

鈴木さんはこのようなケースを「学習性無力感」と書いています。これは、それまでに何度も失敗を繰り返した結果、「自分は何をやってもダメなんだ」と思い込んで、やる気が失せてしまった結果だと説いています。

人間は、失敗を繰り返すと挑戦する意欲がなくなります。そのためには、子どもが無気力感に襲われている時には、誰か同じようにできなかった子がやり遂げた姿を探します。冒頭の水泳のケースでは、50メートルをクリアした友達に、目の前で泳いでもらいます。「あいつができたんだから、自分もできるかも」と刺激を受けるはずです。

親は、「あのこはできるのに、なんであなたはできないの」ではなく、「だいじょうぶ、やってごらん」という言葉かけができるようになると、子どもの成功体験につながっていきます。無気力の原因を探るとともに、身近な成功モデルを見せるのも、やる気につながっていきます。

何事も三日坊主で終わる子には小さな目標から

よくあるケースとして、子どもが何か始めようと思っても、長続きせず三日坊主で終わってしまうことがあります。本著でも、TOEIC500点を目指してラジオ英会話を毎日聞こうとしたのに、1週間で挫折してしまったエピソードが紹介されています。

鈴木さんは、「大きな目標を立てることはいいことですが、一気に達成しようとすると無理が出て、意欲が失せてしまいます」と書いています。鈴木さんは、コーチングしてきたアスリートの姿を見てきて、「目標が達成できずに終わる日が続くと、自己嫌悪に陥り、結局挫折してしまう」と説いています。やる気を継続するには「まずは、小さな目標から始めましょう」と伝えています。

大きな目標は細分化して、できることから始めるのが継続のコツだそうです。親も「どうせまた三日坊主で終わるでしょ。」ではなく、「できそうな目標は何かな? 」と、継続できなかった理由を聞いてみてください。小さな成功を積み重ねていくとセルフイメージが高まり、自分に自信がつきます。

数多くのアスリートたちの才能を開花させ、成功体験に導いた鈴木さん。彼が、言葉かけから、子どもたちのやる気を引き出す方法を説いた本書。どれも、思い当たるエピソードから、日常で取り入れやすい言葉が選ばれています。

親は、子どもが自信を無くした時や、物事に無関心な時も、子どもの才能ややる気を信じ、それを応援するような言葉を心掛けていきたいですね。