誰もが魅了されてしまう蒲田に佇む劇場型のお寿司屋さん。
一度は行ってみたいと思っていた、蒲田の「初音鮨」さん。一歩足を踏み入れると二度とは抜け出せない、想像を超える感嘆と至福の2時間が待っています。
その初音鮨は、JR蒲田駅西口から東京工科大に向かって歩くと、大学敷地のすぐ目の前に。
瀟洒な蔦のからまる洋館なので、一見するとフレンチレストランかな?と思ってしまいますが、右脇の風情ある灯篭を目印に暖簾をくぐります。
入るとそこには、なんとも素敵な待合いの空間が広がります。その季節と継承を大切にしたしつらえのひとつひとつを拝見しながら、その日相席になる方々との会話を楽しみつつ、待っている時間も初音鮨ならではの素敵な時間です。
こちらは以前は客席があったそうです。今のお寿司のスタイルに変わってから、待合いの席にななりました。だからこのような贅沢な空間が生まれたのですね。
飾られている大皿は、井戸に投げ入れて逃げる事によって戦火を免れたという、貴重なものだそうです。ひとつひとつにストーリーがあり、少しづつそんな話を聞かせて頂ける空間でもありますね。
そして、笑顔の美しい女将にいざなわれ、入り口で靴を脱ぎ、いざ、鮨劇場へ。
迎えて下さるのは、蒲田で4代続く初音鮨の大将、中治勝さん。ここから中治さんの江戸っ子口調のひとり舞台が始まります。まるで落語の枕を聞いているかのような楽しい楽しい時間なのです。
そして、寿司が進むにつれて、話が進むにつれて、自称「変態」の寿司職人・中治勝の“寿司科学”が、惜しげもなく披露されていくのです。
*落語の枕…落語の本編に入る前の導入としての話
まずは合わせたての赤酢のすし飯の味見で幕が落とされます。
お米の甘さを最大限に引き出すことによって、砂糖を一切使っていないというすし飯。この合わせたてから、すし飯の変化と、その変化に合わせたネタとの妙味を味わって頂きたい、ということで、シャリの味見から始まるのです。
そしてつまみはなく、いきなりにぎりで始まります。