二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む

魔王を倒し、世界を救えと勇者として召喚され、必死に救った主人公、宇景海人。
彼は魔王を倒し、世界を救ったが、仲間と信じていたモノたちにことごとく裏切られ、剣に貫かれ死んでしまう。
そのときに、彼は誓った。
もし次があるのなら、信じるという言葉にすがるのはやめよう、と。
もし次があるのなら、できる限り残虐にこいつらに復讐しよう、と。
もし次があるのなら、今度こそ間違えないようにしよう、と。
「あぁ、お前ら全員、絶対に殺してやるよ……」 その言葉を最後に、彼が死んだ。
そして、声が響き渡った。 ………【システムメッセージ・チュートリアルモードを終了します】と。二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む(あらすじ)

「異世界転生」「勇者」とくれば、「あぁ、はいはい。テンプレ乙」と言いたくなる気持ちは筆者もよくわかりますが、本作のユニークなところは「復讐」がテーマであり、いわゆる「周回プレイ」のような2度目の世界が描かれていることでしょう。

主人公の勇者・宇景海人は1度目の世界で「勇者」として、世界を守るために戦ったものの、その強大な力に恐れた「味方」だった人々に裏切られ殺される。そして、その裏切りへの報復、つまり「復讐」を果たすために、2度目の世界を迎えてかつての仲間や裏切り者たちを惨殺しようと奮闘する闇が深い作品です。

本作を筆者が読み始めたきっかけは「なにか仄暗い作品はないだろうか」と探しているとき偶然見かけたことでした。時に残酷な描写もあり、こういった世界が灰色に染まったようなダークな作品は好き嫌いがわかれるところですが、そういった「復讐」だったり「恨み」だったりをテーマにした作品が好きな人であれば、「二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む」は試しに読んでみてはとオススメできる作品です。

作者は木塚ネロさん。これまでに74話が公開されており、更新ペースは週1回ほど。今回が第2作目となり、過去作も「使い捨て逃走ダンジョンで人類を殲滅しよう!!」と残虐描写のある作品となっています。

銀河連合日本

二〇一云年、日本に異星人の巨大な宇宙船が飛来した。この未曾有の事態に世界各国は動揺し、それまでの世界秩序を根底から覆す事態に陥ってしまう。
……彼らは極めて友好的であったが、地球世界全体ではなく、「日本」という特定の国家のみと交流を持ちたいと言う。他の地球国家にはまったく興味がないらしい。
更にはその異常なまでに発達した彼らの科学力を惜しみなく日本に公開、提供する異星人。地球の各国、特にアメリカ、ロシア、中国、EUは、異星人の日本に対する対応に世界のパワーバランス崩壊を危惧する。
なぜ異星人は、地球の小さな島国である「日本」に固執し、日本にしか興味を示さないのか。それには遥か昔の日本のある物語と、一人の異星人女性が関係していた……銀河連合日本(あらすじ)

宇宙を舞台に繰り広げられるSF作品が好きな人にオススメしたいのが「銀河連合日本」。私たちが暮らしている世界の情勢を毒抜きして反映しつつ、外交や政治を軸にしたスタンスで「遠い宇宙から日本(地球)に異星人がやってきた」という世界が描かれています。

やや政治的なネタを使ったパロディが目立つ、アクの強い作品ではありますが、そういった物をパロディはパロディとして笑える人なら存分に楽しめるでしょう。

日本に伝わえる「かぐや姫」のお伽話、ここ最近話題になっている「VR」など、古今を問わないバラエティ豊かなネタが詰め込まれ、スペースシップでの艦隊戦や超技術兵器による戦闘など、「スターウォーズ」のようなスペースオペラも繰り広げられるなど、軽い気持ちで読み始めた筆者を引き込んで、じっくりと読ませてしまう奥深いストーリーが展開されています。

そこにはキャラの魅力もしっかりとあって、カレー大好き異星人のフェルさんをはじめ、魔女の異名を得る戦闘民族系トカゲ女子のシエさん、愛すべきバカの道を突き進む「ヤル研」のメンバーたちなど、誰も彼もがなかなか忘れられないような強烈な個性を発揮しています。ちなみに筆者は外伝に登場するメルちゃんがお気に入りです。フェルさんもセットなら100倍おいしいです!ありがとうございます!

作者は松本 保羽さん。すでに本編が完結済みで、現在はアフターストーリーとなる外伝が連載されています。これまでに公開されたのは100話となり、更新頻度は1ヶ月に1〜2話程度ですが、本編・外伝ともに1話のボリュームがかなり多めです。

フィギュアとアニメが大好きなオタク系ライター。「ねとらぼ」や「INSIDE」など、ウェブメディアを中心に活動中。好きなキャラは「初音ミク」。夢はコミケにサークル参加すること。