不気味なモノクマたちが創り出す世界観

今回は、舞台初演・2作目と脚本に関わっていた堀江慶氏に代わり、田尾下 哲氏が演出・脚本を担当した。おしおきシーンの演出変更や、ラストシーンに至るストーリーラインなど、初演から変更になった点はたくさんあるらしいのだが(筆者は初演未見のため、伝聞で申し訳ない)、個人的にはモノクマの“おしおき”演出方法がかなり衝撃的だった。

モノクマたちによる桑田怜恩(宮下雄也)おしおきシーン。不気味……。  撮影:tama

顔をモノクロに塗り分けたアンサンブルたちが、入れ替わり立ち替わり現れては残酷な所行をしていく。一糸乱れぬアンサンブル、複雑な集団アクションを固唾を呑んで見守る。

カワイイ姿をしながら陽気な声で平然と残酷なことを言うモノクマに、嫌悪感を感じるほど感情移入してしまったのは私だけではないはず……。

その他見どころはとにかくたくさんあったが、今回の舞台に限らず『ダンガンロンパTHE STAGE』シリーズに関しては、ポイントは3つである。キャストの演技力と原作への愛、そしてトリッキーな演出をカバーできるカンパニー団結力、そして客席から寄せられる期待値の高さ。

それらが融合して、最高の舞台を創り出しているのだろうと、筆者には感じられた。チケット即完売の理由もしっかり頷ける今作、ぜひチャンスがあればこれから先の公演を観劇されるのが良いだろう。高評価の舞台作品には、高評価の理由が必ずあるのだ。

 フリーランスエディター・ライター。原宿系ファッション誌の編集者などを経て、2014年独立。ファッション、アニメ、マンガ、ヴィジュアル系、腐女子などのカルチャー分野について執筆。