親がすべき対応、親がしてはいけない対応

もし、わが子が障害のある子に対して「あの子変だ、気持ち悪い」のような発言をしたときには「本当に気持ちが悪い子ね」と親は同調するのではなく、「そういう風に人を見ることはよくないよ」と親としてしっかりと教育することが大切です。

ー「あなたは、あんな風にならないように」

例えば、ある子どもが道路の段ボールに寝ているホームレスの人を指さして「どうして、あの人は汚い恰好をして段ボールのおうちに寝ているの?」と親に質問しました。

お母さんは「あの人はお勉強をしっかりしていなかったから、いい学校へ行けなかったのね。だから仕事にも付けずお家も手に入れられなかったのね。○○ちゃんは大人になったときあんな風にならないように、今のうちからしっかりお勉強しようね」と言いました。

こんな対応をしていると差別の芽が植え付けられます。

では、どう言えばよいのでしょう。

「どうしてかしらね。何か理由はあって住むお家がなくなってしまったのね。おうちがなくて気の毒ね。夜なんか寒いでしょうね。大丈夫かしらね」

これでいいのです。

ー「出来なかったから、出来たから」

我が子を褒めようとして、出来ていない友達と比較して「あの子は努力しなかったから○○になったのね。その点あなたは頑張っているから○○できたね」の褒め方も“弱者を馬鹿にする考え”がついてしまいます。

 私が担当した生徒でも自分だけ国立の小学校に合格したとき、周りの友達に「おめえらは勉強できないから、バカが行く地元の区立の小学校に行くんだ~」と叫んでいた子がいました。
これを5歳児が自分の考えで言うはずはなく、きっと親が家庭で言っていることを真似して言っているのです。

そのうちに、だんだんと子ども自身も本当にそのような考えになってきます。これほど子どもは親の考えに感化され、影響は大きいのです。


幼稚園、保育園、小学校で「障害の子どもが一人でもいると通学、通園させたくない」と望んだり、特別支援学級が併設されていない小学校をあえて選ぶ保護者もいます。

けれども、頭で「弱者を排除してはいけない」と学んでも、一緒の場にいなければなかなかわからないものです。
共に過ごすことにより、「世の中には色んな人が存在するんだ」ということを机上の空論ではなく生きた学習の場で学ぶという良い面があるのです。