さて、今月も検索ワードランキング上位から気になるワードを捉えてあーだこーだ言いましょ!

ペルソナとは
製品やサービスを作る際に描く、架空の人物像のこと。年齢、職業、居住地だけではなく、趣味・嗜好、休日のすごし方、Web・ソーシャルでの行動などを細かく設定することで、効果的なマーケティング・販売戦略を決めることができます。

 

検索ワード「10回は会っているのに 付き合おうと 言わない」

これはこれで名誉なことなのではないだろうか。

確かに一緒に食事に行き、映画を見て、特にあてもなく街をうろうろし、終電近くまで飲み、「またね!」と別れ、ということを10回も繰り返したら、さすがに何かしらの進展があってもおかしくはない。

が、もしかしてあなたは、「とんでもなく話が面白い」のではないだろうか。もしくは、それぞれ10回、会うごとにあなたは「別人」として認識されているのかもしれない。だったら恐ろしいことだ。

ところで最近、知人男子の恋愛の悩みを聞いた。

元々は女子の方から、「その男子に興味がある」ということで、人づてに紹介されたのだと言う。

男子はその女子のことを元々知っていて「かわええのう!」とも思っていたので、向こうの方から「会いたい」と来たもんだから願ったり叶ったりな訳で、もちろん喜んで会い、一緒に食事をし、連絡先を交換した。

その後、女子の方から「~のライブに行かない?」や「~の登山、一緒に行かない?」と頻繁に誘って来たので、二人だけであちこちに行ったのだという。

さて、ここまで話を聞いて、みなさんはどう思うのだろうか。僕はこう思っていた。「はよ付き合えやい!」と。

そして話を聞きながらモヤモヤしていたところ、その男子はこう言った。
「これって…どうなんですかね?」と。

どうなんですかね? じゃない! 女子の方からすでに何度も誘って来ているのだ。ただの男友達と何度も二人だけで会おうとしたりなんてするかいな!

もちろん女子の本当の心の内なんてものは分かりっこない。しかし、「なんとな〜く基本的には男子の方から誘うもんだよね」というジャパン文化からして、女子の方からわざわざ「会いたい」と来て、その後も女子の方から「会いたい」を連発して来ているのだ。

ノックされているのだ。

しかも「二人で」という、これはもう拳から血が出るほどの激しきノックに他ならない。あとはもう、こちら側の、つまり男子側の気持ち次第だとしか思えない。

客観的に見て、男子に選択権がある。

君はもう、どっちに泥の沼があるか分かっている「○×クイズ」の目の前に立っているのと同じだ。当然男子は、「付き合えるなら付き合いたいっす」と言っている訳だし。

それでも男子は「いけるんですかね~、どうなんですかね~~」と、うだうだしている。
じゃあ逆に、どうなったら「いける!」と思うのだろうか。謎である。

前もって書いておくべきだったが、この男子は、誰でも知っている様な人物だ。

見た目も性格もいいし、歌声もとても良い。

それ以上詳しくは言えないのだが、芝居の打ち上げに現れた彼は初対面の僕にそんな話を洗いざらい話し、頭を抱えている。

素直! なんなのその愛嬌! モテるに決まっている。

これまでも幾度となくグレイトギャツビーな時間を送って来たことだろうと思う。

あの映画自体はずいぶんつまんなかったから置いといて、そんなギャツビー男がなぜ、そもそも気になっていた女子から激しいアタックを受けているにも関わらず、及び腰になっているのだろうか。

僕だったら、二度目のお誘いの時点で、「いける!」って思うはずだ。

そしてもし僕だったら、それが勘違いで終わるのだろう。とにかく、数少ないチャンスを活かそうと必死になるはずだ。

先ほどから斜め前に座ってこの話を聞いている先輩俳優も「…もうセックスだよそりゃあ。」と酔っぱらって呟いているのも、多少乱暴だが、一理ある。

恐る恐る言っておくが、僕とその斜め前の先輩俳優は、モテ系では、ない。

待てよ、そうか、「どうなんですかね?」と言ってるこの男子は「モテ系」で、「いっちゃえ!なんならセックスだ!」と言ってる僕と泥酔している先輩俳優は「非モテ系(すみません)」だ。

このバックボーンの違いか!? この男子は、「女子の方から何度も二人きりで会おうと言って来る」だけでは、確証が持てない。

つまり過去に「もっと来られたことがある」のだ! なんてこった。未知なる世界。

何をされたことがあるのだろう。裸で追いかけられたりしたら、「いける!」って思うのかしら。もう分からん。

話を戻そう。ずいぶん遠くに来てしまった。

テーマとなっている検索ワード「10回は会っているのに 付き合おうと 言わない」の話だ。

つまるところ、その彼は、まだ確証を持っていない。

もしくは彼女の方からの何かを待っている。のかもしれない。

そしてその彼が「モテ系」だったら、なおさらだ。

もはや裸で追いかけるか、もしくは、いきなり「や~、付き合ってもう1ヶ月か。早いね~」とか言い出してしまうのも手かもしれない。

既成事実として逃げられないようにするというのもいいし、「え?なんのこと?」って本気で引かれたら、「げー冗談だし。そんくらい分かってくださいよ~」と、心で泣きながら冗談にして、その思いを天に成仏させるしかない。

近年、もはや「男子だから」とか「女子だから」というのも、なくなってしまった様だ。

思いの強いものが、それを表現すれば良いのだ。誰に相談された訳でもないけど、言っておく。頑張れ。 

「10回は会っているのに 付き合おうと 言わない」
検索した人たちがたどりつく、ウレぴあ総研の記事

なんじゃそりゃ? 「付き合おう」と言わないオトコの本当の理由9

 

いわい・ひでと●1974年、東京都生まれ。15歳から20歳までを家にひきこもって過ごす。'03年ハイバイを旗揚げ、以来脚本家、演出家、俳優として活躍。'12年NHKBSプレミアムドラマ『生むと生まれるそれからのこと』で向田邦子賞、'13年『ある女』で岸田國士戯曲賞受賞。http://hi-bye.net

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