観客もポールを回してみた

メガネさんの発電装置は、ポールを回すことで生まれる摩擦を利用して発電するので、「普通のポールよりも重たい。負荷は十倍以上」とのことで、メガネさんはヘトヘトに。「回してみたい人がいたらどうぞ」との呼びかけに、観客もステージ上の発電装置に集まり、順番に回してみた。

体験した人たちからは「思ってたより重い」、「これは大変。体力使うわ」、「男でも重いです」などの声が上がった。観客もその仕組みに興味津々。自転車をこいで発電するのと同じ仕組みだという。

メガネさんが「軽い力でも発電できるといいんだけど。もっと効率のいい方法もあると思うの。誰か詳しい人いませんか!」と呼びかける場面も。

その一方で、メガネさんはこうも話す。「でも蓄電するのは違うのね。やっぱり私のパフォーマンスで、灯りが点いたり消えたりすることで生まれるライブ感は大切にしたいんです」

自家発電の電気だからできること

自家発電ナイトは、東日本大震災をきっかけに始まったと聞いていたので、もっとエコを声高にうたうイベントなのかと思っていたが、それは間違いだった。

ペイントパフォーマンスをした青山健一さんは、以下のように語ってくれた。「電気をふんだんに使って、大量のライトを照らしたり、大音量の音楽を流せばそれは盛り上がるでしょう。でも自家発電の小さな灯りは、表現することの根源を照らし出してくれると思います」

リピーターの観客は「ステージが進んでいくと、メガネさんが疲れてくるのが見ているこちらにも伝わってくる。持てる力の全てをパフォーマンスに捧げる姿は心に響きます」という。また別の観客は「自家発電も含めて芸術です」と話してくれた。

主催者によると、今後もこの企画は続けていきたいとのことだ。単に『電気の大切さ』というだけにとどまらず、人の力、ライブでのパフォーマンスの力を感じた一夜だった。

取材/前田郁

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