ファッション面や文化面において、とかくフランスに憧れがちな私たち日本人。子育て面でも、うらやましい要素はいくつもあります。
フランスは支援制度が充実しており、ヨーロッパ一の高い出生率を保ちながら、バリバリ働くことが可能なワーキングマザー先進国。
かたや、日本の私たちは、子どもを持つか持たないかに悩み、二人目の壁の前に立ちつくし、復職するには保育園探しに奔走しなければならず、両国の違いを目の当たりにすると出るのはため息ばかり。
どうしてこんなにまで違うのでしょうか。
そのカギは国民性にありました。フランスの子育て環境が優良なのは、フランス人の自由と愛を重んじるフランス人気質にあるというのです。
34年間のフランス生活にピリオドを打ち、『フランス人は1割しかお嫁に行かない』(東邦出版)を刊行されたばかりの柴田久仁夫さんと、フランスで出産、子育てを経験された奥様である寿美(はるみ)さんに、フランスの子育て事情の背景について、お話をうかがいました。
1. フランス人は、「無痛分娩」が基本
――フランスでの出産はどんな感じなのでしょうか?
(寿美さん、以下H)フランス人はすごく痛がりなのに加えて、病院で痛みを我慢するという概念があまりないので、基本、無痛分娩なんです。それでも叫んでいる人もいました。
フランス人って、すごくわがままなんですよ。母親教室などで、分娩の仕方を学んでいても、やる気がなくなったら、やりません、とか言ってやめてしまう。
フランス語がわからないのに、私だけ真面目に受けたりして(笑)
(久仁夫さん、以下K)それでも、フランス人は安産が多いんですよ。
――わがままな方が安産だと聞いたことがあります(笑)
2. フランス人の出産費用は無料
――あちらの産後ケアは手厚いと聞いていますが。
(H)出産にかかる費用はフランス人であれば無料です。
産後は保健師が訪問してくれますし、家事や赤ちゃんの世話なども頼めばやってくれるサービスもあります。
自治体による差はありますが、声を上げれば助けてくれる制度があるんですね。しかも料金は格安。
3. フランス人は、「ミルク育児」の方が多い
――ところで、フランスでは母乳育児が少ないと聞きました。
(K)少ないですね。それは共稼ぎが基本ということも大きいのだと思いますが…。
(H)我慢したくないのよ。子どものために自分を犠牲にしたくないんでしょうね。
(K)子どもに自分の人生を捧げるという考えはないでしょうね。そのへんはすごく利己主義ですよ。子どもと大人の境界線がすごくはっきりしていると思います。
――なるほど。フランス人は大人の時間を大切にする、ということを聞いたことがあります。