採取のチャンスは一度だけ。本人の使用に備える場合は民間バンクで保管
さい帯血は、さい帯や胎盤の中に残っている血液のため、採取できるチャンスは出産の時、一度限り。赤ちゃんや母親への負担は一切ありません。
さい帯血を保管する「臍帯血バンク(さい帯血バンク)」と提携している産科病院であれば、どこでも採取が可能です。
さい帯血バンクには、大きく公的と民間の2つがありますが、さい帯血を子ども本人のために保管するサービスは、民間バンクが行っています。
民間バンクに預ける際には費用が必要となります。
それでも、軽度を含めると日本人100人に1人程度が発症するといわれる自閉症をはじめ、脳や免疫疾患など幅広く再生医療の可能性に備えることができるため、民間バンクを活用する方が増えているといいます。
採取されたさい帯血は、どのように保管されるのでしょうか。
「採取したさい帯血は、品質が低下しないよう、48時間以内に不要な成分を除去する作業を行います。
その後は、細胞へのダメージがなるべく少なくなるよう細胞保護液を用い、特殊な冷凍プログラムを使って細胞を凍結。
最終的に約-190℃の液体窒素を用いた保存容器で保管します。理論上は、半永久的に保管できると考えられています。
採取するさい帯血の量には限りがあり、お産の状況やへその緒の太さなどによっては少ないこともありますが、少しでも多くのさい帯血を円滑に採取できるよう、さまざまな取り組みをしています」
日本でもいずれ、さい帯血を使った再生医療が身近になりそう
さい帯血についての認知が広まっているアメリカでは、半数以上の州で、さい帯血の採取・廃棄について、出産時に医師による説明が義務づけられています。
またすでに、保管されたさい帯血の70%以上が、再生医療・細胞治療分野に使われるようになっているとか。
日本ではまだ、さい帯血の可能性や、それが大切な医療資源であるという認識が定着していないのが現状ですが、今後、さい帯血を使った治療法が確立されるにつれ、より身近な社会になっていくと思われます。
さい帯血の保管が選択肢のひとつになる時代が、まもなくやってくるかもしれません。
※民間バンクはハードルが高いという方には、さい帯血を公的バンクに寄付するという選択肢もあります。将来的に本人や家族が利用することはできませんが、白血病の方などの治療に役立てられます(費用は無償)