子どもの主体性を育むためにできる3つのこと
(1)子どもが天職に就けるよう「視野を広げる」手助けをする
社会人として1日の多くの時間を仕事に費やすのであれば、わが子には天職と呼べるような職業に出合ってほしいですよね。
そのためには、子ども自身が「自分は何が好きで何が得意なのか」を見極められるようになる必要があります。
これを手助けするためには「子どもがやりたいと言ったことを体験させ、視野を広げることが大切」とのこと。
同書の「親の努力が子どもの視野の広さを決めるとも言えます」(P94)という一節に、私はドキッとしました。
親自身が自分の視野を広げる努力を怠らないようにしたいですね。
(2)「自分で決める」という経験を積ませる
ビジネスの現場では、今や「言われたことだけをソツなくこなす」だけでは活躍できません。今後、ますます求められるようになるのは、自ら提案して実行していけるリーダー型の人材。
ムーギー・キムさんの調査によると、リーダー型の人材は、子どもの頃から「自分で決める」という経験を積み、習慣として身につけているそうです。
従来、日本人は「人様に迷惑をかけないように」と、子どもをしつけることがありました。
しかし、子どもをこれからの時代のリーダーとなるように育てるためには、同書の中で示されている「『人に迷惑をかけるな』より『役に立て』」(P.71)という考え方は参考になりそうです。
何かを決断するときに、「人の役に立つかどうか」という判断基準を持っていることは、将来、子どもが人望を集めるリーダーとして活躍するための助けになることでしょう。
(3)「無償の愛情」を注ぐ
「無償の愛情」の大切さは同書の最終章で力をこめて説かれています。私には、この本の中で、最も著者の熱が入っているパートのように感じられました。
親の注ぐ「無償の愛情」によって、子どもは「自分は愛され、信頼され、受け入れられる」という自信を得るのだそう。こうして育まれた自信があるからこそ、相手の懐に飛び込んでいけるようになるのです。
その行動力が人脈を築くことにつながったり、キャリアを手にすることにつながったりした事例が、同書の中でも紹介されています。
ちなみに、ムーギー・キムさんご自身は、どんなときに母の無償の愛情を感じたのかをうかがうと、「あまりにも多くて、涙なしには語れません」としながらも、「幼いころに、寝る前に童話をたっぷり聞かせてくれたことや、中学受験のときに多忙な母が睡眠時間を削って受験問題を解き、私に教える準備をしてくれたことが心に強く残っています」と教えてくださいました。
まとめ
本の中で紹介されている優秀な学生たちの生の声が貴重なのはもちろんのこと、共著者のミセス・パンプキンさんの、自身の子育てを振り返ったうえでのアドバイスが示唆に富んでいるこの1冊。
将来わが子がリーダーシップを発揮して社会で活躍する姿を思い浮かべ、目先の偏差値にとらわれない、長いスパンでの子育ての指針にしてみてはいかがでしょう。