わかってもらうのに一番必要なのは、結局『自分の言葉』

――「子どもは可愛いけど大変なものは大変」「育児ほどイメージと中身が一致しない仕事もない」「感情的になりやすいかどうかは立場や状況でいくらでも変わる」など、今まで男性目線の本で語られてはこなかったリアルな声の数々に「そうなんです!よく言ってくれました!」と思わず膝を打ってしまったのですが、実際にまだまだ世間の『育児を経験していない側』には浸透していないように感じます。

「世間的な認識は意識の集合体で、そう簡単には変わらないので、ここはやはり個々の夫婦が変わっていくしかないのだと思います。そして変わるにはやはり『会話』しかないと思うんです。わかってもらうのに一番必要なのは、結局『自分の言葉』だと思うので。

普段から会話し、お互いに自分のことを伝え、また相手の話を聞く体制になっている状態にしておく。そして自分がどれだけ大変かを『自分の言葉』で伝える。これ以上効果のある方法はないと思います。

シュフ業を体験してもらうのが一番ですが、現状それは容易ではないので、次善の策として『普段から夫婦で会話する』ことを推奨させていただきます。現に我が家はこの会話のおかげで、長引く夫婦喧嘩をしたことがありません。小さい喧嘩はよくしますけどね(笑)」

これから発信していきたいのは、正規雇用と非正規雇用の話

――最後に、これからどんなことを発信していきたいですか?

「『家事育児が大変』ということを伝え続けてはきたんですが、それを言うこと自体に疲れてきた部分もあって……(笑)。大変ばっかり言っていたら、きっと読むほうも疲れますし。

家事育児が大変だからと、できるだけ時短を推奨してきたわけですが、そうすると空いた時間ができますよね。その時間で何するの? という、一歩先のことも最近は発信したりしています。

もちろん家事を楽しめればそれもいいんですけど、それよりは家事をさっさと済ませて、そのあとに楽しいことをやろう、というのが私の考えです」

――ちなみに、河内さんはその空いた時間で何をされていますか?

「昔は車というか、ドライブが趣味だったんですけど、主夫になってからはめっきりしなくなって。家事が忙しくてそれどころじゃなくなったっていうのもあるんですけど……。

ブログを始めて、反応が出てきてからは、趣味=仕事ですね。他のことをするより、漫画を描いていたほうが楽しいっていう感じです。

これまで自分がやりたいことをいまいち見つけられなかったんですけど、やってみたらハマりましたね」

――ブログを勧めてくれた奥様に感謝ですね。

「そうですね(笑)。

それともうひとつ、これから発信していきたいのは、正規雇用と非正規雇用の話です。

正規雇用=安定ではない時代になりましたよね。平均給料がさがったり、ボーナスがなかったり。会社員は、どんなにがんばってもそんなに給料が上がらない時代です。でも、フリーランスならやったらやっただけ入ってきます。

フリーランス形態、つまり非正規雇用のほうが、これからの時代はいいんじゃないかなと思っていて。そんなことをnoteで発信し始めています。

私も主夫ではありますが、今はこのSNSでの発信を仕事にしています。これからは、家児育児だけに追われるのではなく、シュフでも自分のやりたいことを主軸に人生を楽しむ人が増えてくると思います。

家事をやらなくてよくなると何をすればいいのかなっていう人も多いと思うんですが、そういう人に向けても、さまざまな発信をしていきたいですね」

河内さんは、家事育児の大変さを実感しているからこそ、できるだけ時短し、自分の時間を持つ工夫についても発信しています。

家事育児の苦労を夫にわかってもらえない……と悩む方は、『主婦をサラリーマンにたとえたら想像以上にヤバくなった件』をそっと目に付くところに置いておくといいかもしれません。育児がどんなものなのか、想像しやすくなるはず。それから、河内さんの推奨する「夫婦の会話」を増やして、理解を促してみてくださいね。

エディター&ライター。エンタメ誌などの編集を経て、出産を期にライターに。ミーハー精神は衰えないものの、育児に追われて大好きなテレビドラマのチェックもままならず、寝かしつけたあとにちょこちょこと読むLINE漫画で心を満たす日々。