放送休止、延期、OVAへの差し替えなど、相次ぐ今年のアニメ業界の異変。ここ数年で各シーズン毎のアニメ放送本数は激増しており、アニメファンや業界関係者の間でも制作側の限界が来る日は近いのではないかとささやかれていましたが、それが現実味を帯びてきました。
アニメの現場は“崩壊している”という話がここ最近注目を集めているなか、『HELLSING』アーカード、『Fate/stay night』言峰綺礼など、多くの人気作品で活躍している人気声優・中田譲治がアニメ業界の明日のために「本数を減らしてでも現場のスケジュール管理や予算の増加を実現していかないと消耗戦になってしまうのでは?」と提言を自身のTwitterに投稿しています。
干される覚悟で、日本俳優連合の名の下にデモまで行い声優の地位向上の為に尽力下さった先輩諸氏のお陰でランク制度が出来た。功罪については論もあろうが、一応憧れの職業と見なされるまでになった。ただ、予算がないと、日本俳優連合に所属していない方達が安く引き受けてしまうと言う現状も。(続く
— 中田譲治 (@joujinakata123) 2016年10月27日
これは製作会社サイドも声優も同じで、足並みを揃えないと中々個々では変えられない。折角アニメが認められ映画でもヒットを生んでいる今こそ基盤整備のチャンスだと思うのだが。本数を減らしてでも現場のスケジュール管理や予算の増加を実現していかないと消耗戦になってしまうのでは?
— 中田譲治 (@joujinakata123) 2016年10月27日
中田さんは続けて「アニメーターや俳優などは本来個々の才能に依る不平等なものだと反論される方もいらっしゃる。それも一面の真理です。 しかし、業界自体が底上げされないと貴方の能力給も上がらないのですよ。自分の関わる皆さんが少しでもいい環境で仕事出来る事がひいては自分の為にもなるのです。」と持論を展開。
アニメーターや声優という個々の待遇の話だけでなく、業界全体が現状を見直すチャンスになるではと捉えているようす。
市場規模が拡大し続けているアニメ業界。本数が激増した背景には、出資者から見ると比較的安全で優良な投資案件であること、人気作や話題作であればなおのこと成功の見込みが立つことなど、さまざまな面がありますが、その土台となるアニメーターほか制作サイドの現状はブラック企業そのものだという話が何年も前から各メディアなどで伝えられ、待遇改善が必要だと訴えられ続けてきました。
クリエイティブな仕事に不可欠な「創造性」や「独創性」といった能力を育てるには、相応の環境や体験が必要。時間的、金銭的、生活的な余裕があってこそ。
今回の「本数を減らして、スケジュール管理を」という提言は多くのTwitterユーザーから1万回以上もシェアされており、アニメファンの中からも「アニメが多すぎる」という声が聞こえてきます。視聴者側の「アニメ疲れ」ともいえる状態が拡大する事態は避けるためにも、業界の今後のためにも体制を見つめ直すときが来ているのかもしれません。
2016年秋アニメ視聴状況アンケート