日本人は素材をシンプルに味わうことを好み、韓国人は複数の素材や調味料を同時に味わう複合味を好むとよくいわれる。

そのため、「肉を食べたくて本場韓国の焼肉屋さんに来たのに、副菜が多過ぎて何を食べているのかわからなくなる」という日本の人の声もたまに聞く。

韓国にいるからといって、韓国式で食べなければならないという決まりはない。

伝統や形式を重んじる日本の人より、むしろ韓国人のほうが好き勝手に食べていると思う。

その日の気分や体調で自由に食べてもらいたい。

韓国ではこれくらいの副菜を提供する焼肉店も珍しくない

韓国ではシクサ(食事)といって、肉を食べたあとの締めの食べ物を注文する人も多い。

一般的なのは白飯とテンジャンチゲ(味噌鍋)だ。

肉を焼いた網にそのままチゲの鍋をのせてあつあつにしてスプーンによそい、ふ~ふ~しながらすする。

右が焼肉店のテンジャンチゲ、左が雑穀入りのごはん

もうひとつは冷麺。スープにつかった麺にダイコンの薄切りがのったシンプルなものが多い。

肉を食べた口をさっぱりさせるのに効果的だが、冷麺は朝鮮半島を代表する麺料理なので、締め食いにするにはちょっと惜しい。

ぜひ専門店で食べてもらいたい。

サムギョプサル専門店の冷麺。ご覧の通り、盛り付けにはあまり気をつかっていない

次回、2回目は「冷麺」を取り上げたいと思います。

「韓国ソウル 街歩きレッスン」講座のお知らせ

2020年4月25日(土)、15:20~16:50、17:10~18:40(90分×2コマ)、名古屋の栄中日文化センターで本コラムの筆者が講座を行います。

知っているとソウル散策や飲み歩きがさらに興味深いものになる歴史逸話をお話します。

お申込み方法など詳細は、2月中に本コラムやTwitterでお知らせします。

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。