2019 年は、即位の礼や大嘗祭といった皇位継承の儀式が続々と行われ、皇室に注目が集まる年でした。皇室の女性たちの清楚で上品なメイクやファッション、佇まいには、普段から憧れている人が多いのではないでしょうか。

女性皇族のご婚礼や成年の日のお支度を多数手がけてきたのが、ホテルオークラ東京にある「与儀美容室」です。

今回は、同美容室3代目で、『与儀美容室がお客さまから学んだ「美しい生き方」』 の著者でもある与儀育子さんに、上品さの決め手となるメイク術やヘアケアについて教えていただきました。

その人本来の美しさを引き出す…与儀流プリンセスメイクとは

「私たちが仕事をする上で最も大切にしているのが、その人本来の美しさを引き出すことです。女性皇族の方々、いわばプリンセスたちのメイクを担当するときには、何年か経って見返しても美しいと思える上品でオーソドックスな仕上がりを心がけています」と話す与儀さん。

与儀美容室には、カットやシャンプーなどのサロンメニュー以外にメイクレッスンのメニューもあるのですが、与儀流のプリンセスメイクを習いたくて足を運ぶ女性も多いのだとか。

正統派のプリンセスメイクは、きちんとした装いや大人の振る舞いを求められるママ世代にもぴったり。与儀さんによると、一般女性が自分で実践するときには、次の3つのポイントを意識するといいそうです。

1.美点を強調する

まず押さえておきたいのが、基本的なセオリーです。

与儀さん(以下、与儀)「メイクの基本は、その人の美点を強調することです。それぞれのお顔立ちや全体のバランスにもよりますので一概には言えないのですが…たとえば、きれいな二重まぶたの方なら、アイラインは太くせず、ブラウンのアイシャドウで自然な立体感を出したり。

すっきりした切れ長の目の方なら、シーンに応じて、まぶたにその方の肌によくなじむ色のアイシャドウを乗せた上で、アイラインの目尻部分をほんの少し伸ばして凛とした印象に仕上げることもあります」

私たちが自分でメイクする場合、プロである与儀さんのように仕上げるのは難しいですが、「美点を強調する」というセオリーを意識するだけでも、より自然で品のある仕上がりになるはず。自分の顔の美点はどこなのか、改めて見直したいですね。

2.流行を取り入れすぎない

2つ目は、入園・入学式などで記念写真を撮る機会が多いママ世代には要注意のポイント。

与儀「流行のメイク方法やアイテムを取り入れるのは楽しいことですが、上品に仕上げたいときは、過度にならないようにしましょう。与儀美容室では、特に、特別な記念日で、写真や映像に残るような場合には、どの時代に見ても美しく感じられるようなメイクに仕上げる必要があると考えています」

たしかに、トレンド感満載のメイクで写真に写ったら、将来、写真を見た子どもや孫に衝撃を与えてしまう可能性も…。手持ちのコスメがトレンドアイテムばかりだとつい使ってしまうので、流行に左右されない上質アイテムを増やしていくといいかもしれません。

3.出向く場所・時間に合わせる

3つ目のポイントは、ママたちが見落としがちなTPOヘの配慮。場所や時間によって服装は変えていても、メイクまで使い分けている人は少ないのではないでしょうか。

与儀「メイクをするときは、ご自身に似合うどうか、美しく見えるかどうかだけでなく、出向く場所、時間帯に合うかどうかを考えることも大切です。

たとえば私たちが皇室の方のメイクを担当する場合、日中のイベントでは、はつらつとした表情に見えるよう、チークやリップをナチュラルな色味にします。宮中晩餐会のような夕方以降のイベントではイブニングドレスをお召しになるので、少し色味を強くして、より華やかに見えるようにしています」

日中か夕方か、ママ友とのカジュアルな集まりなのか、学校行事などのかしこまった場なのか。それぞれの場にどんなメイクが合うか考えて変化をつけることで、より洗練されたイメージになれそうです。