ヘアケアの基本は頭皮ケア。洗う時間の倍の時間で“すすぎ”を
30代、40代のママたちは、白髪、抜け毛、ぱさつきなど、髪の悩みが増える年頃。年齢を重ねるなかで、どんなケアをしていけばいいのでしょう。与儀さんからは、こんなアドバイスが。
与儀「髪の美しさを左右するのは、頭皮の状態です。頭皮を健やかに保つことで初めて、ボリュームが豊かでツヤとハリのある美しい髪が保たれます。実は与儀美容室で一番人気のメニューは、カットやカラーではなくシャンプーセットなんです。
どなたにでもすぐに実践できる頭皮ケアの一つが、洗った時間の倍の時間をかけてすすぐこと。一般的なシャンプー方法では、すすぎが足りていないことが多く、地肌に汚れやシャンプー剤が残りがちなんです。シャンプー剤が残ると酸化して脂になり、毛穴詰まりの原因になります。
シャンプー前には必ずブラッシングすることもポイントです。ブラッシングには、血流をよくするほか、毛流れを整えて汚れを落としやすくし、余計な摩擦を防いでダメージを軽減する効果があります」
ちなみに、与儀美容室のシャンプーセットは二度洗いが基本で、シャンプーだけで20分、セットも入れると約1時間。マッサージで血流をよくしながらじっくりと汚れを落とし、シャンプー剤を残さないよう、強い水圧で隅々まで洗い流すそうです。
シニアになったらグレーヘアがおすすめ
与儀美容室では、シニア世代の女性には白髪染めのヘアカラーをやめてグレーヘア(白髪を活かしたヘアスタイル)にするよう提案することもあるといいます。その理由も、与儀さんがこだわる「髪と頭皮の健康」と関係しています。
与儀「白髪を染め続けると、3週間に1度くらいの頻度でヘアカラーをすることになります。美容室の売り上げを考えればありがたいのですが、どう工夫してもお客さまの頭皮には負担になってしまいます。
そこで、負担を減らして、できるだけ長く美しい髪を保っていただきたいという思いから、ある程度お年を召した方にはグレーヘアをおすすめしています。美しいグレーヘアは上品ですし、顔色も明るく見せてくれますよ」
近年、注目を集めているグレーヘア。センスのいい服やアクセサリーで装ったグレーヘアの女性には、内面からにじみ出すような気品があります。ママ世代にはもう少し先の話ですが、グレーヘアが似合う上品で素敵な女性になれたらいいですよね。
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今回は外見の美しさについてお話を伺いましたが、与儀さんの著書『与儀美容室がお客さまから学んだ「美しい生き方」』には、内面の美しさを養うヒントも。
そのほか、与儀美容室がロイヤルウェディングのお支度を担当した際の秘話や、美容界の黎明期に美容室を立ち上げ、軌道に乗せた初代(与儀さんの祖母)の奮闘ぶりも綴られていて、伝記としても読み応えがあります。
巷にはさまざまな美容情報があふれていて取捨選択に迷うことも多々ありますが、与儀美容室の美の理念は実にシンプル。大人の女性として改めて美容に向き合いたい人は、一度同書を手に取ってみてはいかがでしょうか。
【取材協力】与儀育子(与儀美容室)
1949年創業、ホテルオークラ東京内にある「与儀美容室」の3代目。初代である祖母の八重子氏、母のみどり氏から受け継いだ丁寧な仕事ぶりから、皇室の女性たちをはじめ、ノーベル賞受賞者、経済界の著名人などが通う一流美容室として知られる。
著書に、『与儀美容室がお客さまから学んだ「美しい生き方」』がある。