お正月休みは家族水入らずで百人一首やかるた、トランプをしたりして盛り上がることができます。普段、忙しかったりゲームばかりしていても、この機会に季節の行事として、ぜひ子どもに体験させたいものです。

けれども、かけっこでもトランプでも、相手がわざと負けてくれていることがわかったら、その瞬間にゲーム性がなくなり、面白くなくなります。相手が真剣にやっていないからです。4歳くらいになると、「大人が自分を勝たせようと、わざと負けてくれている」ことを見抜いていたりします。

だからといって、親と子どもで何か競うとき、大の大人が一生懸命になってしまうと、知識があり力も強い大人が勝つのは当然です。そのまま対戦したら子どもは負けてばかりいて、挫折感しか味わえず、「つまらないから、や~めた!」とやる気を失ってしまいます。

そこで、大人も子どもも真剣になって遊べる方法を、『〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がご紹介します。

ハンデを付ける

3歳未満の子どもは、まだまだ社会性が育っていない年齢です。人と自分を比べるなど、競争心があまりありません。たとえカードゲームをしたとしても、1枚取れただけで嬉しそうな顔をして満足しています。

ところが4~5歳になると「人より一枚でも多く取りたい」という気持ちが芽生えてきます。鬼ごっこや、かけっこに興味を持つのもこのくらいの年齢ですよね。そんなとき、力の差が大きい相手とまともに対戦させると、負けてばかりいる子が出てきます。

さて、私が学習塾で一クラス10人ほど指導をしていた頃、小学生に漢字や四字熟語やことわざを教える工夫として、かるた形式をとっていました。百人一首のように、読み手が読んだものをパーンと取るのです。

でも、しっかり勉強してきて覚えている子がいつも勝ち、覚えていない子はいつも負ける状態になってしまいました。負けることで奮い立ち、「しっかり宿題をやって覚えてこよう」と転じてくれればよいのですが、そうなることは少なく、出来ない子はますます意欲減退していきました。そして「どうせ僕は負けるから」とだんだん嫌がるように…。

そこで、こんな工夫をしました。

・「男子 対 女子」の対戦形式にして、それぞれのグループの合計枚数で勝ち負けを決める。人数が「5人 対 5人」など均等に分けられない場合は、少ない人数のチームに「プラス7枚」など、最終的に取った枚数に加える。

・ ブービー賞(ビリから二番目)も設ける。

・ 坊主めくりなど、個人の能力に頼らない、運だけで勝ち負けが決まるゲームを取り入れる。

家庭でも同じです。まともに大人と対戦したら、子どもは負けてばかりなのでハンディキャップを付けましょう。

たとえばトランプの神経衰弱(=同じ数字だったらとれるゲーム)や、かるたをするときに「ママがとった枚数 対 子どもが取った枚数+10枚」とします。年齢や能力に応じて枚数は減らしたり増やしたりしてくださいね。算数の勉強にもなりますよ。