授業に集中できる体を朝食で作る
――朝ごはんを菓子パンや食パンで済ませてしまう家庭も少なくないと思います。例えば食パンにジャムを塗るのは簡単ですし、子どもも好きなものですが、佐藤先生はどうお考えですか?
佐藤「これも先ほどの問題と同じで、親が選択して責任を取っていくしかないのです。菓子パンは重さの40%弱が砂糖です。
スーパーに売られているような食パンにも、多くの砂糖が含まれています。そこにジャムを塗れば、すごい量の砂糖を摂取することになりますよね。
しかも普通の砂糖ではなく、果糖という分子の小さい砂糖が使われていますので、それを朝に食べれば学校に行く間に一気に血糖値が上がります。
これに体が反応して値を下げようとインスリンが大量に分泌されると、血糖値が下がり過ぎて、子どもたちは一時間目で集中力がなくなるのです。
そして血糖値が下がり過ぎれば、今度は体が逆に反応し、血糖値を上げようとアドレナリンが出だし、三、四時間目はイライラしているという状態になります。
親としてそれでいいのなら、菓子パンでも食パンでも食べさせればいいと思います。ただ学校では落ち着いて勉強してほしいので、我が家では、朝にごはんとお味噌汁を食べさせていますよ。」
食事中のスマホやテレビは必要か
――最近では食事中もスマートフォンを使用する親もいますよね
佐藤「食卓にスマートフォンを持ち込むことは、家族の会話よりもスマートフォンに入ってくるラインやメッセージが大事だと見えるわけです。
子どもがそういった姿を見て、『自分は大切にされているのかな』と思えるかということです。それも親の意識ですよね。
子どものことを思うのであれば、子どもがどう思うのかをちゃんと親として思いやる、その結果としてどういう行動になるかということを考えたいですね」
――「せめて食卓ではスマートフォンは見ないようにしようよ」という風にしたいですね
佐藤「我が家の場合は、テレビもつけません。食事中はもちろんですが、1日30分しかテレビをつけないというルールを持っています。
子どもだってテレビを見させたら喜びますよね。だからといって、ずっと見させていいかといえばそうではありません。
テレビが子どもの発達に対してどのような影響を及ぼすのか、簡単に調べることはできます。そのうえで『皿洗いの時間のときはテレビを見せてもいいかな』などと、親自身で考えて行動していくのが大事かなと思います。」
楽な子育てを選んではいけない
佐藤「子育ては結果論であり、親は『こうやって育てよう』と思ったことに信念を持ってやり続けるしかないのです。
その結果として、プラスになるかマイナスになるかはわかりません。マイナスになったときに、それは親として責任を取るしかありません。子育てにマニュアルは絶対にないのです。
『楽(ラク)』と『楽しい』の漢字は同じですが、意味はまったく違います。私は楽な子育ては絶対にしてはいけないと思っています。楽しい子育てをするべきだと考えています。
例えば、公園に遊びに行くときのお昼ごはん。コンビニでおにぎりを買うのはすごく楽ですよね。
でも、朝、おにぎりを子どもと一緒に握って、それを持って公園に行くとします。そしてお昼、自分たちが握ったおにぎりを食べる子どもたちは絶対に楽しいと思います。
その笑顔を見る、親も絶対に楽しいはずです。市販のおにぎりとは比べものにならない喜びが、おにぎりを握るその手間暇の中にあるのです。
そこを親として考えないといけないと思います。『自分は楽な子育てをしようとしているのではないか?』『本当に求めるべきなのは楽しい子育てなのではないのか』を考えてみてください。
楽しいということは、手間暇がかかるので、決して楽ではありません。ある意味、苦しい場合もあります。
しかし、その手間暇が子どもに愛情として伝わっていくわけです。だから苦しいけど、楽しい子育てをしないといけないのです。」
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子どもからの「ママの料理とっても美味しい」は、何よりも嬉しい褒め言葉ですよね。そして子どもは、愛情たっぷりのママの料理が大好きです。
美味しいごはんは、人を笑顔にし、家族で楽しむ食卓は心を豊かにし、毎日の食事は人の体を育みます。
『地頭のいい子を育てる食卓の力 6歳までに身につけたい30の習慣』は、日々の食事の大切さや、子育てについて改めて見直せる一冊。
子どもの食生活を改善したいという方も、ぜひ手にとって、食卓から親子の絆を作っていってくださいね。