「呼吸リラクゼーション」も効果的
「カウントバック」と同じように有用なのが、「呼吸リラクゼーション」だと瀬戸口さんはいいます。
人は怒り心頭に発すると、呼吸が速く浅くなって、冷静でいられなくなるのです。
そんなときは、大きく深呼吸。すると、乱れた自律神経が整い、リラックスして冷静さを取り戻せます。
「数を数えるのが面倒」という人でも、この方法なら試しやすいですよね。
さらに、ランニングやヨガなど一定時間以上の有酸素運動を軽めに行うと、脳から幸せのホルモンとも呼ばれるセロトニンなどの化学物質が分泌されます。
毎日は難しくても、時間を見つけて採りいれたいですね。
それでもダメなら「思考停止テクニック」
どうしても、強い怒りで頭がいっぱい。
そんなときは「思考停止状態をつくる」のがおすすめだといいます。
怒りに乗っ取られそうになったら、自分自身に「止まれ!」「考えるな!」と呼びかけてください。
これは、思考停止を脳に命令すること。
頭のなかが空っぽの状態、または頭のなかが1枚の真っ白な紙になっているとイメージするのがコツです。
この方法をスポーツ界で実践したのが、日本ハムの4番打者、中田翔選手です。
入団当初、中田選手は記者の容赦ない質問にカチンとくることが多く、態度にも出していました。
ところが、斉藤祐樹選手の礼儀正しさや協調性ある行動を見て、自身の態度や考え方を改めたそうです。
たとえ相手の対応にイラッとしても、「やめとけ、考えるな、ストップ!」と自己暗示をかけるようにしたのです。
その後の中田選手の活躍は、誰もが知るところです。
簡単メモで自分の怒りパターンを知ろう

自分が何に対して怒りやすいのかを知ることも大切です。
「アンガーログ」という方法は、実際に書く(=ログ)ことで自分の思考や感情を客観的に「見える化」すること。
これによって怒りをコントロールしやすくなるといいます。
やり方は、(1)怒った日時・場所、(2)怒った相手、(3)怒りを感じた出来事などを記入していくだけ。
すると「自分の怒りのクセ(傾向やパターン)」が見えてきます。
「夕方の慌ただしい時間帯、子どもに怒りやすい」など、アンガーログで初めて気づくことがあるはずです。
書くことで成功したスポーツ選手が、Jリーガーの中村俊輔選手です。
高校時代からサッカーノートをつけるようになった中村選手は、目標や記録だけでなく、孤独や不安、自信などの感情も書き、感情面を徹底的にコントロールしていました。
その結果、ノートに書く目標はほとんど実現したといいます。
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怒りの感情をコントロールするアンガ-マネジメントとは、「怒りを鎮め、怒りを味方につけることで、人間関係やビジネスシーンにおいて、よりよいものにしていくもの」と瀬戸口さんはいいます。
本書には、ここで紹介した以外にもさまざまなテクニックが紹介されています。
また、イチロー選手や錦織圭選手など、著名人のアンガーマネジメントのエピソードも満載! これらは特別な人のためのものではなく、子育てをする私たちにとっても見習いたいことばかり。
怒りをコントロールできずにストレスをかかえているかたは、手に取ってみてはいかがでしょうか。

























