いろいろな分野へ女性が進出するようになった現在、職業として本気で「探偵」を志す人が増えてきました。

テレビのドキュメンタリー番組で探偵スクールに通う女性が紹介されたりしますし、実際、私(探偵社経営)のまわりでも女性が増えてきたように感じます。

昔はハードでタフな「男の世界」のイメージが強かった探偵業界。最近はどんな女性が探偵を志しているのか、探偵になるにはどうすればいいかなどを紹介します。

“普通の女性”が探偵をめざしている

探偵をめざす女性の年齢層は幅広く、経歴も会社員や主婦などさまざまです。ごく普通の女性が職業の選択肢の1つとして「探偵」を選んでいる、そんな印象を受けます。

探偵ドラマに出演する女優さんのように、特別なスキルや美貌がないとダメでは?なんてことは一切ありません。むしろ派手すぎると現場で目立ったりして困るケースもあるからです。

調査のスキルも社内研修や探偵学校(後述)で学べるので心配はありません。自動車の運転ができるのが条件、くらいです。

探偵を選んだ動機は人それぞれですが、「やりがいがありそうな仕事だから」「困っている人の助けになりたいから」と普通の考え方をしている女性が多いです。

逆に「映画やドラマで見てカッコ良かったから」のように、華やかな業界という誤ったイメージを抱いてきた人は、就職してもあまり長続きしないように思えます。

女性探偵の需要は増えている?

なりたい女性が増えている一方で、業界側の需要はどうなのでしょうか。

最近は凶悪犯罪が多発しているせいか、世間の人たちが部外者に向ける視線が厳しくなってきました。その点、女性調査員なら張り込みの現場などでも余計な警戒心を抱かれず済みます。

クライアント(依頼者)から相談を聞くときにも、女性のやわらかな応対が緊張をほぐしてくれることがあります。

調査機材が扱いやすいよう小型化していること、法律の整備によって肉体的・精神的な負担が減ったことなども、女性進出の追い風になっていると感じます。

探偵スクールを卒業して就職する方法

探偵になる方法の1つとして、探偵スクールに通うことが挙げられます。

探偵スクールはおもに中堅から大手クラスの探偵社が運営しており、卒業生にはプロ探偵として就職の道が開かれます。受講費用は安くて5~10万円、高くて100万円ほど。就職ではなく自分で探偵社を「独立開業」するコースだと、さらに高くなる場合もあります。

スクールで教わる内容は各社違いますが、調査員の心得や法律を学ぶ「座学」、尾行や張り込み、撮影、盗聴発見などのスキルを磨く「実技」で構成されます。現役のプロから探偵スキルを直接学べる貴重な機会といえるでしょう。スクールによっては、テレビでしか見たことのないような特殊機材を使ってみることもできます。

ただし、日本には公的な探偵ライセンスがありませんので、スクールを卒業したからといって、そこ以外の探偵社ではあまり重視されません。

たとえばA探偵社の採用面接に行ったとして、「B探偵社のスクールを卒業しました」と自己アピールしても、「ああそうですか」で済まされることがほとんどです。探偵スクール卒業の肩書きは、思っているほど効力を持たないことに注意してください。