「集中しなさい!」はNG
反対に、親の声がけでNGなタイミングと声がけ内容というのはどんなものがあるのでしょうか?
川谷「最も良くないのは、子どもが集中して勉強していないときに、『集中しなさい!』『ちゃんと勉強しなさい!』と言ってしまうことです。
繰り返しになりますが、子どもはそのとき、勉強とは別の興味のあることに、ただ集中しているだけです。子どもに悪はありません。
子どもに集中して勉強に取り組んでもらうには、自分の意志で勉強しているときに声がけするのがチャンスです。
『自分から始めたんだね!』『どんなお勉強をしているの?』など、きちんとそれを認めてあげる、承認してあげましょう。言い換えると、親のほうから子どもの勉強に興味を持ってあげることが大切です」
勉強させるおすすめの場所は?
ところで、子どもに勉強をさせるとき、子ども部屋やリビングなど最適な場所というのはあるのでしょうか?
川谷「中学生や高校生になると、勉強部屋で勉強に関係のないもの、例えばマンガやゲームなどをシャットアウトされた環境が一番良いのですが、これはあくまで子ども自身が経験から気づくことです。
ですから結局はどこでもかまいません。
親も一緒に勉強するならリビングルームが良いでしょうし、リビングルームが騒がしいのであれば勉強部屋でもかまいません。寝転がってでもOK。トイレの中でもOK。どこでもOKなんです。
そうやって勉強していく中で、寝転がって勉強しても頭に入らないな、リビングでやったら集中できないな、というような一人ひとりの気づきがあり、そのうち勝手に自分のベストな場所で勉強するようになります」
勉強に火がつかないなら他のところで火を大きくさせよう
もし、子どもが勉強に対してさっぱり興味を示さないという場合には、無理をする必要はないと川谷さんは話します。
川谷「日中、子どもが自宅にいると、親としてはできるだけ大人しく勉強していてくれるととても助かりますね。
しかし子どもは一人ひとりによって、心に火がつくものが違います。
勉強に火がつく子もいれば、ゲームに火がつく子もいます。読書に火がつく子もいれば、YouTubeに火がつく子もいます。またその日その日の気分によっても火がつくものが違ったりします。
子育てにおいて最も重要なポイントは、子どもの火がつきやすいものから火をつけることです。1本のマッチのような小さな火でも、その火がどんどん大きくなって燃え移り、いつしか燃えにくいものも燃えるようになります。
この火のことを『興味』や『好奇心』と呼びます。
『勉強しなさい!』『集中しなさい!』など、その火を消すような働きかけは、子どもの興味や好奇心、そして集中力を阻害してしまい、将来自分の力で火をつけられなくなります。
自宅にいるときに、できれば自分から進んで勉強して欲しいのは親の願いですが、もし火がつかないのであれば、勉強に関しては、まず課題や宿題などの最低限のことだけでかまいません。
勉強以外のことについた火をどんどん大きくさせ、それが勉強に燃え移れば、いつしか自分から進んで勉強するようになります。
目先の生活、目先の学習だけにとらわれず、ぜひ10年先、20年先の我が子の活躍を願ってあげてください」
子どもが家にいる時間が増えているということは、親子が向き合う時間も増えているはず。親は勉強だけに固執せず、子どもの興味関心の矛先を、この期間に確認してみるのもいいかもしれませんね。
【取材協力】川谷潤太さん
株式会社脳レボ代表取締役。人間の潜在脳力を引き出すスペシャリスト。学校・スポーツチーム・企業への講演や研修を中心に活動し、全国から依頼が殺到。講師デビュー3年目にして、すでに受講者は5万名を突破している。