外見を似せるだけの実写化にはしたくなかった
――コミックが原作ですが、コミックの「桐山零」を100%体現しようと思ったのか、それとも神木さんなりのアプローチを考えたのでしょうか?
神木:どちらかというと後者です。もちろん動き、仕草、飲み物を飲むタイミングなど役作りとして似せる様にはしていましたが、原作自体がとても人間味のある作品なので、10人観たら10人違うことを感じると思うんです。ある種答えが無いような作品なので、実写化して生身の人間が演じる事で答えが出てしまうのではないかという恐ろしさもありますし。
コミックの実写化というと、どうしても原作を真似てなぞることが一番のように思われがちですが、今回で言うと似せるだけではいけない。監督とも「外見を似せるだけの実写化にはしたくないよね」と話をしました。
“あたたかさ”というのは作られたものでは出ないので、桐山零が現実世界に生きていたら、このような考え方を、表情をするだろうと、原作にはとらわれずに自分の感じたままで表現しました。僕なりの桐山零として。原作のあたたかさを出すには、僕たちも人間として受け止めて返さないといけないと考えていたので。もちろん見た目を似せたりという工夫はしていますが。
――神木さんはもともとスマートな体型ですが、零を演じている時はあかりさんに「ガリガリでメガネの子だ」なんて言われるシーンもあったり、さらに華奢に見えました。何か減量とかされたのですか?
神木:何もしていないです。
――この映画のキャスティングが発表された時には「原作とソックリ!」とネット上で大きな話題になりました。神木さんは周りのキャストの皆さんをご覧になっていかがですか?
神木:僕も、島田さんは佐々木(蔵之介)さんが良いなと思っていたので、やはりか!と思いました(笑)。後藤さんは伊藤(英明)さんなんだ!と思ったり、あかりさんも倉科(カナ)さんの口角が上がっているふんわりした感じがピッタリだなと、発表される度に楽しくて。
でも、そんなすごいキャストの皆さんが分かるほど、この中で演じるんだ……どうしよう、というプレッシャーを感じました。大先輩の素晴らしい俳優の方ばかりで、しかも盤上で向き合わなければならないので、「胸を借りる気持ち」でいったらふきとばされるなと、気が引き締まりました。