香子役は有村さんだったからこそ、この雰囲気が作れた
――その中で意外だったキャスティングの方はいましたか?
神木:香子は意外でした! 有村(架純)さんはやはりほんわかとしたイメージがあって、トゲトゲしている役を観たことがなかったので、こんなにツンツンしているキャラクターをどう演じるのだろうと、楽しみでした。
――作品の中でも零と香子は一緒のシーンが多いですよね。
神木:有村さんとは『SPEC ~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿』や、『11人もいる!』でも兄弟役で共演したことがあったので、香子役は有村さんだったからこその、家族でも、兄弟でも、他人でも、どちらともつかない雰囲気が作れたのではないかなと思います。
――確かに零と香子のあの何とも形容しがたい空気感というのは、すごく独特ですよね。複雑な関係性だと思います。
神木:僕は、行き場の無い孤独を共有している同士、だと思って演じていました。全く同じではないにせよ、ふたりとも大きな孤独を抱えていて、しかも誰にも頼れない。香子が唯一頭を傾けられるのは零だけなのだと思います、そして零もそれを受け入れるという。
――零も孤独を感じながらもそれに囚われすぎているわけでもなく、すごく絶妙なキャラクターですよね。
神木:孤独は抱えているけれど常に思っているわけではなく、ふとした時に思い出すという。そしてその孤独を彼の中で確実に消化もしてきていて、成長も見える。先輩や川本家に面白いことを言える明るさも出てきている、人間味のあるキャラクターです。
――大友監督が神木さんのキャスティングについて「零と“子供の頃からプロだった”というプロフィールが重なる」とおっしゃっていますが、その点についてはどう感じられましたか?
神木:零は中学生でプロになって、自分より年上の大人たちと対等にやり合っている。僕も幼い頃、親に「大人も子供も関係ない世界だから、ひとりの役者として現場に立ちなさい」と言われてきたので、そこは零と共通していて共感できる部分だなと思いました。
でも、この事は監督と打ち合わせしていて初めて気付いたのですが。「(大友監督の真似をしながら)子供の頃からプロって同じだよな?! 神木と!」って(笑)。
――自分だと気付かない、自分の事、だったわけですね。最後に、本作がコミック原作であり、この「Character JAPAN」という媒体がアニメ・コミック好きの読者が多いので、神木さんお気に入りの作品を教えていただきたいのですが。
神木:少女漫画もよく読みます。「ストロボエッジ」が好きです。読みながらキュンとします(笑)。
――今日は大変楽しいお話をどうもありがとうございました!
映画『3月のライオン』
【前編】3月18日(土)より、【後編】4月22日(土)より全国公開