つけたら終わりではなく、週、月、年ごとにチェックを
――週計表で「食」「住」「衣」「他」に分けていますが、この分け方のいいところはどういうところでしょうか。
大場「週計表は費目がざっくりですから『直感的に振り分ける』ことができます。簡単でなければ続かないので、極力シンプルな記帳方法がよいのです。
『衣食住』は生活の基本を表す言葉です。これを参考に支出の回数が多い順番に、『食』(食べることに関連する支出、食料品費や外食費など)、『住』(住むことに関連する支出、家賃・住宅ローンの支払や水道光熱費・通信費・修繕費など)、『衣』(身なりに関連する支出、被服費や理美容関連費など)、『他』(その他の支出、医療費・レジャー費・慶弔費・各種保険料など)と費目を4パターンに分けました。
このくらいの分け方だと小難しい理屈なしにサクサクレシート貼りができます。また1枚のレシートで、例えば『食』の食料品と『住』のお風呂の洗剤などが混在している場合は、どちらか金額の割合が大きい方の費目で計上してしまって構いません。
細かく費目を分けることよりも、いくらおカネを使ったのか把握する方が重要なのです。
――家計ノートは週ごと、月ごとに振り返るタイミングがありますが、振り返るときに注意したほうがいいポイントがあれば教えてください。
大場「家計ノートはつけたらそれで終わりではなく、チェックする意識を持つことが大切です。Plan・Do・SeeのSeeの部分ですね。反省なくして成長はありません。週・月・年の単位別のチェックポイントを確認してみましょう。」
1: 週ごとの振り返り
記憶が新鮮なうちにそして余裕のある時間に10分間で1週間を振り返りましょう。
週計表に1週間分のレシートを費目別に貼るわけですが、その時に記載漏れがないか確認をします。レシートがないものは直接週計表に金額と支払先を記入すればよいです。印象に残る買い物があればその時のキモチも忘れぬうちに書き添えます。
2: 月ごとの振り返り
月次家計収支一覧表を作成してその月を振り返ります。その月の収入は給与明細書や給与振込口座から確認をします。
また保険金や御祝金などそのほかの収入があれば記載します。支出については週計表の金額をまとめ、無駄遣いがなかったか内容を見直します。
収入から支出を引いた差額がプラスであれば黒字、マイナスであれば赤字です。月次チェックでその月のおカネの動きが一目でわかります。
また、その月で印象に残った出来事などがあれば、これも1行でよいので書き添えます。1か月の振り返りも数分あればできてしまう作業ですので気負わずにやってみてください。
3: 年間の振り返り
月次チェックを毎月していますから、年間の振り返りもあっという間にできてしまいます。月次家計収支一覧表を1年分集計すれば年次家計収支一覧表ができてしまいます。収入から支出を差し引いた差額分がプラスであれば貯蓄が増えているはずです。
貯蓄を増やすには支出のコントロールが必要不可欠ですので、改めてここで1年分の支出の内容を見直してみます。支出回数が多いものや高額なものなど気になる部分を発見したら、ピックアップしてみましょう。そしてその支出が本当に必要なものであったのかどうか精査します。
また通帳や返済予定表なども目を通して、ザックリでよいので資産と負債がいくらあるのか確認をします。そして資産と負債どちらのほうが大きいかバランスを比べてみてください。
理想は、資産>負債です。資産より負債のほうが大きいと返しきれなくなったときに破産する恐れがあるので、バランスチェックも行ってみてください。
――買い物のときに感じたことをメモすることで、買い物の日記帳としての役割も果たすということですが、これにはどういうメリットがありますか?
大場「買い物のメモはおカネの出方について『キモチが向いている』ことを表します。つまり、メモをすることは経済観念を身につけるための絶好の学習の場でもあるわけです。
すべての買い物についてメモを残すのは苦痛を伴うので、印象に残る買い物をした時に一言書き添えることを推奨しています。
例えば、新発売のシャンプーが髪質にマッチしてハッピーになったら、そのレシートの横に一言良かったというキモチを書いてみる。安さにつられて買った3足500円の靴下が一度洗濯したところでゴムが伸びきってしまったことなど、失敗したことも一言書いておく。良いことも悪いこともメモを読み返すとその時の記憶がよみがえります。
買い物のPlan・Do・Seeを覚えておくとよいですよ。
Doは実行。買い物をした事実です。その内容はレシートを見ればわかりますね。
Seeは反省。印象に残ったことをメモに残します。良いことも悪いこともレシートに書き添えたメモで振り返ることができます。
Planは計画。過去の経験を生かして後悔のない賢い買い物の仕方を考えるようになります。
買い物の良し悪しを繰り返し経験し、過去のメモを読み返すことによってこれからの経済活動がより一層スマートになっていきます。」