子どもは3歳くらいになると、何かになったつもりでよく「ごっこ遊び」をするようになります。
模倣の対象は実に様々です。電車ごっこ、怪獣ごっこ、そして人を模倣するお店屋さんごっこ、歯医者さんごっこ、先生ごっこ、忍者ごっこ、そしてお母さんごっこなどです。
ごっこ遊びは、手本がなければ出来ません。子どもは周りの大人の言動をよく観察しています。まだ日本語も上手に喋れないのにも関わらず、買い物を体験したら店員の真似をして「いらっしゃいませ。何になさいますか」と、敬語までそのまま真似しています。
そんな「ごっこ遊び」で不動の人気のお母さんごっこ。ママ役の子と、子ども役の子の間で交わされる会話に耳を傾けてみると、子どもたちは家庭内で親が子どもによくかけている言葉を使っています。
自分の言葉遣いを客観的に見るよい機会になりますね。
そこで今回は、“子どもの前では気をつけたい、親の言葉”について、『1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。
親の「気をつけたい言葉」と言い換え方
「だから言ったでしょ!ほら見なさい!」
子どもがコップの水を零しました。
「だから言ったでしょ!よく見て歩きなさいって」
親側には「子どもが失敗するに違いない」という心配な気持ちがあり、つい言ってしまう余計な一言。でも、これを言われ続けると、子どもには「どうせ、自分は出来ない」という気持ちが芽生えてしまいます。
そして、自身のことに対して「どうせ」と無意識に使うようになってしまいます。
●言い換え方
零したら後始末をさせれば、これからは気を付けるようになります。
「あら、零しちゃったのね。雑巾でよく拭いておいてね」とだけ言いましょう。
「本当に?」
園から帰ってきた子どもが「ママ、今日、給食で嫌いなピーマンが出たけど、全部食べたよ」と、嬉しくて報告してきたとき「え、本当に?」と返していませんか?
ママは“感嘆の気持ち”“感激の気持ち”でかけた言葉ですが、よく考えてみると疑いの言葉でもあります。もしかしたら、子どもは「信じてもらえていない」と感じてしまうかもしれません。
●言い換え方
「まあ、ピーマン食べること出来たね。良かったね」
「わあ、嫌いなものも食べたんだ。エライね~」
「頑張ったね。ママも嬉しいわ」
と、共に喜んでやりましょう。
「やるべきことをやってから」
夕飯後、ゲームをしたくていつまでも歯を磨こうとしない子どもを見て、つい言ってしまうこんな言葉。
「やるべきことをやってから、遊びなさい」
“~べきこと”と“べき”が付いた時点で、何だかとても否定的なフレーズになります。
歯を磨けばスッキリしますし、お風呂に入ればサッパリしますし、宿題をするのは自分の学力向上のため。 “~べきこと”とつけた時点で“不愉快なこと”に変化してしまいます。
大人も「まず、やるべきことをやってから自分の仕事に取り掛かろう」とか、「やるべきことをやってから自分の時間を楽しもう」などとつい使ってしまいますが、しなくてはならないことを「べき」と使うことにより、否定的なイメージを持って行動する習慣がついてしまうかもしれませんね。
●言い換え方
シンプルに「先に歯を磨いたら」「宿題を先にやろう」と言いましょう。