豆腐(トゥブ)入りのキムチチゲ。キムチトゥブジョンゴルともいう
ソウルに40年以上住んでいる筆者が、ビギナー向けにお送りしている美味しい韓国料理作法。
【韓国】知っとくと、よりうまい!「韓国料理の美味しい作法」1【焼肉編】、【韓国】知っとくと、よりうまい!「韓国料理の美味しい作法」2【冷麺編】に続く、3回目の話題は鍋物だ。
肉をキムチや葉野菜といっしょに食べることからもわかるように、韓国料理は「複合味」が大きな特徴といえるが、その最たるものが鍋料理(○○チゲ、○○ジョンゴル、○○タン)だろう。
鍋物といえば、家族や仲間でつつく姿を想像すると思うが、韓国ではひとり用の鍋も一般的だ。ランチの定番メニューであるキムチチゲやスントゥブチゲなどは、小さな鍋を厨房で火にかけ、グラグラと煮立った状態で出てくる。
ここではみんなでつつくタイプの鍋物のなかから、ビギナーがとっつきやすいもの紹介しよう。
キムチチゲ
専門店のキムチチゲ。洗面器のような鍋に入っている。鍋が凸凹なのはレトロ感を出すための演出
韓国人に「好きな食べ物は?」と尋ねたら、多くの人がキムチチゲと答えるだろう。ベスト3に入ってもおかしくないソウルフードだ。
発酵の進んだ白菜キムチを豚肉やネギといっしょに煮ただけのものなのだが、キムチ自体に塩、唐辛子、ニンニク、魚介の塩辛などが使われているので、深い旨味がある。
また、発酵によってさわやかな(韓国人はそう感じる)酸味が生まれるので、ごはんが進むし、酒のつまみにもなる。
日本で売られているキムチにはよく「浅漬け→食べごろ→鍋や炒め物用」のように、発酵段階ごとの特徴が表示されているが、韓国人の舌では、日本の人が酸っぱいと感じる「鍋や炒め物用」の段階こそが食べごろである。
韓国でキムチやキムチチゲを食べることに慣れれば、「さわやかな酸味」が楽しめるようになるはずだ。
プデチゲ
『オデン食堂』のプデチゲ。ソウル近郊、京畿道の議政府(ウィジョンブ)にはプデチゲ通りと呼ばれる専門店街がある。この店はその元祖といわれている
コチュジャン系のスープでキムチやネギ、ポークランチョンミート(SPAM)やソーセージ、インスタントラーメンの乾麺などを煮こんだもの。
専門店もあり、ランチタイムは会社員数名がひとつの鍋をつつく姿が見られる。具が多彩なので、酒のつまみにもいい。
筆者はそれ自体濃厚な旨味があるポークランチョンミートに辛い味がしみたものが好きで、追加のトッピングを頼んだりする。
プデは部隊の韓国語読みで、朝鮮戦争後、在韓米軍から流れて来た食材を使って作られたことから、こう呼ばれる。
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