再演では、キャロルに直接関わってくるメンフィスやイズミル王子はもちろんですが、ライアン兄さん、セチ、ウナス、ナフテラさん、ミヌーエ将軍…、こういういつもキャロルの側にいてくれる人との関係性を意識しています。

メンフィスやイズミル王子に対しての気持ちの持ち方は、初演同様、もっともっと濃厚に伝えなきゃ、というのはもちろんあるんです。

だけどそれ以上に、原作のコミックではキャロルとの関係が、もっと濃厚に描かれているんだけど、舞台では“時間を経た後”の仲のよさや、関係性が描かれている人との部分を意識したいと思っているんです。

コミック同様の愛情を自分の中でギュッと凝縮させて、それぞれの人たちへ見せられるようにしたいなと思っています。

例えば、キャロルの為に身を挺してくれるセチもそうです。ライアン兄さんに関しては、結局キャロルは古代のエジプトに残ることを選んでしまうから、離ればなれになってしまうんです。その哀しみが兄さんにはあって。

観ている方がライアン兄さんやセチ、ウナスに感情移入したとき、哀しくなったり、嬉しくなったり。そういう感情を観ている人が持てたらいいなぁって。それが今回、私のすごく観せたいと思っているところなんです。

コミックに詳しく描かれているエピソードを、舞台上で関わる“一瞬”でどれだけ出せるか。しゃべり方を変えてみたり、くっついてみたり。くっついていればいるほど、離れたときのさみしさが感じられると思うんです。

演出ではなかったんだけど、セチに自分から近寄っていって手を取ったり。ライアン兄さんが横にいて、ベッドに寝ていた私が意識を取り戻す、第2幕の冒頭シーンでも「ライアン兄さん! 」って抱きついたり。

もともと、初演同様でそのままいく予定だったんです。でもコミックでは、キャロルがライアン兄さんに抱きついているんです。だから、抱きついた方が、後でライアン兄さんが1人になったときに、

“ライアンがかわいそう! エジプトを選んでしまうなんて、キャロルのバカ!”

って、観客の皆さんに思ってもらえるんじゃないかなって。それをそのまま舞台に活かさせてもらっています。

ーーくっつけば、くっつくほど離れたときがさみしい。確かに落差があればあるほど、感情が生まれますね。

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