ソウル路と旧ソウル駅舎の夜景

旧市街の新しい顔、ソウル路(seoullo)7017

“韓流”以降の日本の旅行者にとっては、ソウル駅=ロッテマート(駅に隣接する、おみやげを買うのに便利な大型スーパー)だったかもしれない。どちらかというと通り過ぎる場所だった。

そんなソウル駅周辺に空中散歩を楽しめる大規模な遊歩道が完成した。

旧ソウル駅舎の西側、万里洞方向から見たソウル路(歩行者専用遊歩道)

その名も「ソウル路(seoullo)7017」。1970年に建設された高架道路を全面改修し、2017年に再生されたことからこう名付けられた。

ソウル路は旧ソウル駅舎の西側にある万里洞(マンリドン)と、東側の地下鉄4号線「会賢(フェヒョン)」駅を結ぶ、全長約1キロの高架遊歩道だ。

高架路からは、90年以上の歴史がある旧ソウル駅舎や崇礼門(南大門)の偉容、復元された朝鮮王朝時代の城郭などが一望でき、夜は韓国の人気ドラマ『ミセン』の撮影地でもあるソウルスクエアビル壁面の巨大メディアアートに圧倒される。

遊歩道には多くの植物が配され、その植物や歩行者のためにミストシャワーが設けられている。

さらに、トランポリンなどの遊具、記念品を販売するショップやカフェ、観光案内所、地上と遊歩道を結ぶエレベーターなども設置され、幅広い年齢層が空中散歩を楽しめるようになっている。

今回は散歩の途中で味わえる、ソウル路とその周辺の美味しくてヘルシーな食べ物をいくつか紹介しよう。

フォトギャラリーソウル新名所の注目グルメを写真でじっくり見る
  • ソウル路の名物スイーツになりそうなトトリ・プルパン。Sサイズが2500ウォン、Mサイズが4500ウォン
  • 野菜ホットッは直径11~12センチ、厚さは1センチほど。1個1000~1500ウォン。会賢駅5番出口辺りから南大門市場の2番ゲートに向かう通りに屋台が何軒かある
  • 「VERY KITCHEN」の店内。打ちっぱなしの内壁がいかにもフュージョン・レストランといった趣
  • 「VERY KITCHEN」の外観。日本統治時代、そして、解放後のソウルを見つめ続けてきた建物
  • 「VERY KITCHEN」のキムチチム22000ウォン。辛さより酸味や発酵味に特徴がある

ミシュラン・シェフの創作ビビンパ

ソウル路のオリジナルメニューのひとつ、「7017ソウル花飯(ファバン)」の山菜ナムルビビンパ9000ウォン

ソウル路の西側にできた万里洞広場には、「7017ソウル花飯(ファバン)」と名付けられたファストフード感覚のレストランがオープンしている。

ここではミシュランの星を獲得したキム・フニ氏をはじめとするスターシェフたちがプロデュースした料理が食べられる。

看板は“花飯”の名にふさわしいビビンパ。おすすめはヘルシーで値段も手ごろな山菜ナムルビビンパだ。

ビビンパで有名な全州や晋州で見られるカラフルなものとちがって、ほぼ緑一色だが、野菜ごとに生、干し、揚げなど変化に富んだ調理がされているため、あきずに楽しめる。

焼肉や鍋などボリュームのある料理が続きがちな韓国旅行の、いいアクセントになるだろう。翌日の肌やおなかの調子も楽しみだ。

7017ソウル花飯(ファバン)
中区南大門路5街281
11:30~22:00 無休

白ワインと豚肉とキムチのマリアージュ

「VERY KITCHEN」の外観。日本統治時代、そして、解放後のソウルを見つめ続けてきた建物

万里洞広場に面した通りの向こう側には、近代建築を生かした重厚な外観のレストラン「VERY KITCHEN」が、通りがかる人々の視線を集めている。

ソウル路のデザイナーがプロデュースしたこの店では、さまざまなメニューを開発中だが、おもしろいのは見た目がロールキャベツ風のキムチチム。

発酵が進んで酸味の出たキムチと豚肉をやわらかく煮込んだおなじみの料理だが、ここでは白ワインを加えて煮込んでいるのが特徴だ。

熟成キムチの濃厚な発酵味と豚肉の旨味に、白ワインの清涼感が加わった、大人っぽい味。韓国料理の概念を守り過ぎず、それでいて逸脱し過ぎてもいない絶妙なバランスを感じさせる一品だ。

「VERY KITCHEN」のキムチチム22000ウォン。辛さより酸味や発酵味に特徴がある

VERY KITCHEN
中区万里峙路205
18:00~23:00 日曜休