子どもの習い事としてスイミングは根強い人気があります。それだけ我が子を泳げるようにしたい親は多いのでしょう。

ですが、水がこわいという子どもを泳げるようにするのは至難の業。下手をすると一生のトラウマにもなりかねません。

そこで、プロフィールに「水泳一筋20年。お子様の水慣れからお任せください」と載せているベビーシッター兼水泳指導者である松永たかひろさんにお話をうかがいました。

水がこわい子どもに最初にすることとは?

松永さんに、水がこわい子どもにまずとるアプローチをお聞きしたところ、以下のような答えが返ってきました。

「水がこわい子どもにとって、プールは恐怖なんです。あの量の水があること自体がこわいんですね。ですから、まず根本恐怖を取り除くことが大事です。

水着に着替えながら、“これから入るのは楽しいところだよ”“いっぱい遊ぼうね”と、まず言葉から安心感を与え、気分を盛り上げていきます」

いきなり「水なんてこわくない、大丈夫だよ」と突き放すのではなく、まずは子どもの気持ちをわかってあげる。そのうえで、水への恐怖を取り除いていくのが松永さんのやり方です。

ご自身は3歳から水に親しんでいて、泳ぎは得意な松永さん。初めは泳げない子どもの気持ちがわからないかもしれないと思っていましたが、だんだん子どもたちがどう感じているのか、わかってきたそうです。

水に慣れるまでは根気よくつきあう

水がこわい子どもにとっては、水に慣れるまでが長い道のりです。

「そこまでは根気よく、ほんの少し上達しただけでもほめて、ちょっとずつでもいいので進んでもらうよう工夫しています」

たとえ進みがとても遅くても、その子のペースに合わせることが、なにより大事なのですね。

「水がこわい子どもたちは、あごから上に水がかかることを嫌います。ですからまずは足先から水に入っていって、慣れてきたら、体にしがみついてでもいいので体まで浸かっていきます。

その後もすぐに泳ぐのではなく、手をつないで水のなかを歩いたり、プールを往復したり、水の流れを体験してもらうんです」

水の流れは見ていて飽きませんし、おもしろいもの。学校やスイミングスクールでは、水で遊ぶ感覚を楽しむ余裕がないのかもしれません。

いよいよもぐる練習の前にすることとは?

「次に慣れてきたら、水に口をつけてぶくぶく息を吐き出してもらうことをします。

しぶきが顔に当たることで、顔に水がかかっても平気ということがわかります。このぶくぶくがおもしろいらしく、たいていのお子さんはキャッキャと喜んでやりますね」

水でぶくぶく、つまりはうがい。家のなかでは怒られそうなうがいの仕方ですが、そこら中水だらけのプールなら大丈夫。

「人は慌てると水のなかで反射的に息を吸ってしまい、苦しくなります。

水のなかでぶくぶくすることで、“水のなかでは息ができない”ということと、“水のなかでは空気を吐き出す”ということを、体で覚えるんです。

このことが後々、もぐる練習に移行したときに水を飲むリスクを減らすことにつながります」