自身の感覚と周囲からの視線やメディアでの取り上げられ方にも違和感を感じるという。
「役者としてどうこうよりも、異性として見られているような記事もあるじゃないですか。
あれは不思議なんですよ。人気○○みたいなアンケート記事ってあるじゃないですか、褒めてくれるのはわかるんですけど、“ホントかな?”みたいな(笑)。
役者としては良い仕事をしたということなので、それは嬉しいんですけど。そういう対象なんだっていうのは、いまだに不思議な感覚ですね。
若い頃からずっとそういう環境だったのであれば、別ですけど。昔は出待ちの子に手紙出されて、“ありがとう”って受け取ったら、“いいや、この手紙を誰々君に渡しといて”って言われるような感じだったので(苦笑)。
さっきの神輿じゃないですけど、それに慣れていかないといけないこともあるかもしれない。
でもそれが普通になってしまうと、居心地が悪いんですよね。それは僕にとっての“普通”ではなくなってしまうから」
そして、本作は、派手なCGやアクションを使うわけではなく、じわじわと日常が侵食されるような演出が魅力となっている。
そこで必要とされるのは、役者自身の演技の力だ。蒼山を演じる際、どのような意識を持って役に挑んだのだろうか?
「今回に関しては、それを意識しないことを意識しました。
蒼山という男は、流されるままに“町”に来て、そこで何がしたいとかは自分でもわかってない人間だったので、序盤は特に僕はぼんやりと他の住民たちにトコトコついていくだけっていう。
共演者の方々は曲者が多いので、その方が収まりがいいのかなと、そのくらいおぼろげな記憶で、意識してなかったですね。なんか禅問答みたいになっちゃいましたね(笑)」
衣食住は保証されてはいるものの、完全な「自由」の無い「町」を舞台にした本作だが、中村自身の考える「自由」とは、なんだろうか?
「仕事が早く終わって、夕方くらいに帰宅して、夕日を見ながら酒を飲むことじゃないですかね(笑)。平和ですね。やっぱり早く帰れると嬉しいですよね」
『人数の町』
9月4日(金)全国公開