料理やスイーツ作りのハードルが低いフランス人

フランス人はたいてい、デザートも簡単に作れるレシピを持っているそう

――本書でも簡単に作れるデザートのレシピが載っていますが、フランスではお菓子作りもハードルが高くないものなんですね。

志麻さん:日本人のデザートを作る感覚って、すごくハードルが高いと思うんですけど、フランスの人たちはもっと気軽に作っているんですよ。分量も軽量カップではかるんじゃなくて、目分量だったりカフェオレボウルでざっとはかったりしています。

「失敗するかも」とか「ちゃんと作ろう」とかいうよりも、「楽しく作ろう!」っていう感じがあって。レシピも簡単なもの、子どもでもできるようなものが多いですね。

それってすごく大切で、子どもに「〇g量りなさい」って無理なので、「このくらい入れてね」って言うほうが伝わるし、楽しいですよね。楽しいって思えたら、好きな子はどんどん好きになって自分で作る。料理が苦手な人も同じで、難しすぎると継続しないんです。

コロナの自粛のときにみなさんお菓子やパンを作ってましたよね。そうやって続くほうがいい。定期的に続けていると、男女関係なく作ることが好きになって、それが身についていく。

だからフランス人の男性は、料理嫌いの人を知らないくらい、みんな普通に作れるんです。

日本はコンビニなどが充実しているので、作らなくても生きていけますよね。それはちょっと危険だなと思っていて。生きるために食べることって基本なので、それを自分でできるかって大切なことだと思うんですよね。

ただ今の時代、女性も仕事している人が多いですし、疲れて帰ってきて難しいものや手のかかるものを作れっていうのは無理ですよね。その日の体調や気持ちに合わせて、無理せず簡単なものを作ったり、時には買ってきたものを並べたりするのでもいいと思うし。

子どもはよく見ているので、とにかく親が楽しく食事をしたり料理をしたりするのが一番です。

『ちょっとフレンチなおうち仕事』には、志麻さん愛用のキッチン用品や使い方、効率よく料理をするコツや簡単でおいしいフレンチのレシピなどが詳しく載っています。

毎日の料理をもっと効率よく、楽しくやることで心の余裕もでき、子どもと接する時間もより良いものになるのではないでしょうか。ぜひ本書を参考に、「気楽なフレンチ流」に挑戦してみてくださいね。

【取材協力】タサン志麻さん

タサン志麻さん

大阪あべの・辻調理師専門学校、同グループ・フランス校を卒業後、ミシュランの三ッ星レストランでの研修を経て帰国。老舗フレンチレストランなどに15年勤務して2015年にフリーランスの家政婦として独立。
各家庭の家族構成や好みに応じた料理が評判を呼び、「予約がとれない伝説の家政婦」としてメディアから注目される。料理イベントやセミナーの講師、食品メーカーのレシピ開発など、多方面で活躍中。

エディター&ライター。エンタメ誌などの編集を経て、出産を期にライターに。ミーハー精神は衰えないものの、育児に追われて大好きなテレビドラマのチェックもままならず、寝かしつけたあとにちょこちょこと読むLINE漫画で心を満たす日々。