『オペラ座の怪人』舞台写真 撮影:下坂敦俊

[秋]劇場は、本来なら劇団の創立記念日である今年7月14日(火)に開場する予定だったが、新型コロナウイルス禍で次々と四季の公演が中止になる中、新劇場の開場も延期になっていた。

現在は公演も再開しているが、ひとたび関係者に感染や濃厚接触が確認されれば、今も公演中止に追い込まれるという状況が続く。そんな手探りのウィズコロナの時代にあっては、『オペラ座の怪人』のような、信頼できる強いミュージカルがふさわしいだろう。

19世紀半ばのパリ・オペラ座を舞台に、その地下に隠れ住む怪人と、可憐な歌姫、彼女の幼馴染みの若い子爵が織りなす美しくも哀しい物語と、それを甘く切なく重厚に彩るロイド=ウェバーの名曲の数々。

また、くすんだゴールドと暗めの赤、そして黒を基調としたマリア・ビョルンソンの舞台美術も、荘厳なオペラ座の雰囲気を見事に再現している。今回、劇中で重要な役割を果たすシャンデリアが新調され、さらなる劇的効果も期待できそうだ。