子どもの自己肯定感を高めるには、こういう声かけをするといい。こういう育て方をするといい。そういった、子どもの自己肯定感を高めるためのメソッドを書いた本は、世にたくさん出ています。
そのくらい、「子どもが自己肯定感高く育つこと」は、今多くの親にとって、ぜひそうなってほしい、理想の姿だということでしょう。
ですが、振り返ってみて、親である自分の自己肯定感はどうでしょう? もし、自己肯定感が低い自覚があるのに、子どもには自己肯定感の高い子に育ってほしいとしたら…。
そのための声掛けや、育て方には、矛盾が生じたり、苦しくなってくる可能性はないでしょうか。
元小学校教諭で子育てママ専門カウンセラーの福田花奈絵さんは、著書『泣いてる子どもにイライラするのはずっと「あなた」が泣きたかったから』で、「まずは親が自分を受け入れ、自分の自己肯定感を高めることが大切」だと説いています。
子どもにイライラしてしまうのは、子どものせいではなく、自分が自分を「受容」できていないせいだというのです。
では、親である自分が自分を認めることができたら、それは親子そろって自己肯定感を高められるチャンスですよね。そうなりたい、と願う親は多いはず。
そこで、著者の福田さんに、本書をもとに“親子で”自己肯定感を高めるためのメソッドを詳しくお伺いしました!
子どもの自己肯定感を高めるには、まずは親の「自己受容」から
――もともと、小学校の教員をされていたんですよね。でも、子どもを産んで思うようにいかなかったと。
福田花奈絵(以下、福田):大学時代から、特別支援教育について学んでいました。小学校の教員をやっていたときも、子どもとの関わり方で困ることはほぼなくて。
もちろん試行錯誤はしていましたが、最終的には子どもたちと良い関係を築けていたように感じていたので、まさか自分の子ども、しかもたったひとりやふたりで悩むことになるとは思ってもいませんでした。
子どもとの関わりでは成功体験が多く、思い通りに動かないということをほとんど経験したことがなかったんです。
――それから、心の仕組みとカウンセリングを学んだと本書に書いてありましたね。
福田:半年間、民間のカウンセリングの講座に通い、それと並行して子どもとのかかわり方も学びました。そこで、結局「自己受容」ができているかどうかなんだな、と思ったんです。
――本書のテーマですよね。親が自分自身を受け入れてあげることで、自己肯定感も高まり、子どもに対する感情も変わってくるという。子どもの自己肯定感を高めるメソッドというのはよくありますが、そのために親がまず自己肯定感を高めるというのが意外なアプローチでした。
福田:「子どもにこういう声かけをしましょう」っていうのは、目的が子どもの自己肯定感を高めたいからですよね。自分が自己肯定できていない状態でそれをやろうとすると、まずふだん自分が使っていない言葉だから無理があるんです。がんばってやることになりますよね。
そうやってがんばっているのにも関わらず、子どもの自己肯定感が高くないと感じる瞬間があると、がっかりする。がんばったのに子どもに反映されていない、となるわけです。
やっぱり子どもの自己肯定感って、子ども自身が自己受容と自己肯定ができているかということなのですが、それには親が自己受容できてるかがすごく重要なんです。
親が自己受容できていないと、子どものできないところばっかり目に付くんですよ。自分のできないところが目に付く人は、人のできないところも目に付くはずなので。
――自己受容できていれば、子ども側が変わらなくても親からの見え方が変わりますか?
福田:これでもいいかな、と思えます。こういうことはできないけど、他にいいところがあるし、たとえいいところがなくても、生きているだけで尊いな、ありがたいな、と思えるようになります。確実に子どもの見方が変わりますね。