神様からのご利益を受け取るために、心の不安を祓う方法
新型コロナウイルス感染症との闘いはまだまだ続く中、コロナ禍以前のように、何の不安もなく好きなように外出をすることが難しい状況は変わっていません。
好きな場所に出掛けることも控えていたり、やりたいことも我慢し続けていたり……。知らず知らずのうちに、心のどこかに苛立ちやもどかしさ、淋しさや哀しみを抱えている方も多いことでしょう。
このように不安の多い時期は、私たちの心もどこか揺らぎやすいものです。
そんな時だからこそ、素敵な神社やその神様に想いを馳せて心の支えにしたり、気持ちを鎮めたりすることも大切なのではないでしょうか。
そして、神様から授かるパワーやご加護を受け取るためにも、心の中から不安を祓う方法が必要です。
そう考えると——この「コロナ禍」の日々は、ある意味で「今」を生きる私たちに向けた一種の「修行」のようなものだと言えるかもしれません。
今回は、そんな私たちの心に力を貸してくださるに違いない、「修験道=修行の場」としても名高い素敵な神社をご紹介したいと思います。
古くから山伏(やまぶし=山の中で修行をする者)たちが踏破する「神仏習合の(=神道と仏教が融合した)霊場」として大切にされてきた、山形県・出羽三山神社の魅力。
こちらの神社は、人々の心が疫病による不安から少しでも守られるように、神様との繋がり――「神縁」を結んで心健やかに過ごすための、素敵な試みをしていました。
それが「御守り」を通じた「遥拝(ようはい)」、現代風に言い換えれば「リモート参拝」も、神様とのご縁を深めるひとつの在り方です。
まずは、出羽三山神社の特徴と、大きなパワーを秘めたその魅力についてお届けいたします!
山伏の修行場「出羽三山」の3つの山について
出羽三山は古来から山岳信仰が根付く聖地であり、その名の通り「羽黒山(標高414m)」「月山(標高1984m)」「湯殿山(標高1500m)」の三山からなる、神秘的な参詣ルートが特徴です。
三つの山は「出羽国」を東西に分けるように横たわる、山形県・出羽丘陵の主要部分に当たります。
この地帯は、かつて活発な火山が爆発を繰り返しており、「怒れる山」と恐れられていたのだとか。しかし、いつしかその山々が穏やかになり、草木が生い茂って動物たちが暮らす豊かな山林になっていきました。
その変化と生命力に、麓で暮らしていた人々は不思議な神秘を感じ、山そのものに対して深い畏敬の念を感じるようになったのです。
「この山々には、生命の糧を司る山や海の神々、また祖先の霊魂が宿り鎮まっているに違いない……」
このように、出羽三山に秘められた自然の力と、祖先への感謝に想いを馳せる根強い信仰へと結びついていったのでしょう。
出羽三山神社のはじまりと神様(由緒と御祭神)
この山に神社が誕生したのは、およそ1400年以上前のこと。
推古天皇の御代に、奈良の都からやってきた第三十二代崇峻天皇の皇子・蜂子皇子(はちこのおうじ)は、来る日も来る日もこの山で厳しい修行を重ねていました。
するとその前に伊氏波神(いではのかみ)が現れ、それを拝した蜂子皇子は、すぐに羽黒山頂に「出羽神社」をお祀りすることにしました。
これが「御開山の年」とされ、御開祖である蜂子皇子の修行の道は、神仏習合が根強く残る「羽黒派古修験道(はぐろはこしゅげんどう)」として、今なお大切に受け継がれています。
出羽三山にはどの山にもお社があり、次のような神様たちがお祀りされています。
月山神社
・月読命(つきよみのみこと)/天照大神の弟神で夜の世界を司る神様
出羽神社
・伊氏波神(いではのかみ)/出羽国の国魂である神様
・稲倉魂命(うかのみたまのみこと)/五穀豊穣、生産の神様
湯殿山神社
・大山祗命(おおやまつみのみこと)/山を司る神様
・大己貴命(おおなむちのみこと)/国造りの神様
・少彦名命(すくなひこなのみこと)/国造りの協力神、医薬の神様
このように、それぞれの山にある神社に鎮座する神様はとても個性豊かで、多くの御神徳を私たちに与えてくださっているのです。
月山と湯殿山は冬のあいだ雪に閉ざされていることから、比較的標高の低い羽黒山の山頂に、三山の神々が合祭されているのも特徴です。
さらに、広大な山の中には「百八末社」と言われる社もあり、そちらでは八百万(やおよろず)の神々がお祀りされています。