出羽三山は、太古の昔から続いてきた自然崇拝である山岳信仰に、平安時代初期に導入された「神仏習合」の影響で仏教・道教・儒教などが複雑に合わさり、今日の祀りの形に成立したという、珍しくて霊験あらたかな「修験道」のお山。
多種多様な信仰を懐深く宿した山であるからこそ、出羽三山の神々は「信じる者には等しく御神徳(ご利益)を授けてくださる」と伝えられています。
目の前の困難や自らの心の弱さに立ち向かおうとしている人たちに、きっと大きな勇気と後押しを授けてくださることでしょう!
伊勢神宮と「陰陽」の対を成す人生儀礼のひとつ
出羽三山の修験道を登拝することは、関東地方では「奥参り」と言われ、人生儀礼のひとつとしても受け継がれてきました。
実は三つの山にはそれぞれに意味があり、羽黒山では「現世利益」を学び、月山で「死後の体験」をして、湯殿山で「新しい生命」をいただいて生まれ変わる――と言い伝えられています。
つまり、羽黒山→月山→湯殿山の順に登ることそのものが、この世でできる「凝死体験」と「蘇り」の修行になっているのですね。
この三山を登拝した人は、一般の人とは違う「神となることを約束された者」になったとみなされるのだとか。
そのため、一生に一度は必ず成し遂げるべきものとして、「西の伊勢参り」に対して「東の奥参り」と呼ばれ、それは「陰陽」の対を成しているとも伝えられています。
日本全体の氏神神社とも言える伊勢神宮はもとより、この出羽三山神社にもお詣りをして、人生における「陰陽」の調和を感じてみるのも素敵なことですね。
雪のない季節であれば、一般の人でも普通に登って参拝することはもちろん可能ですし、望む人には本格的な修行の場としても開かれています。
男性であれば、毎年8月26日から9月1日までの7日間、蜂子皇子にあやかり伝統的な山伏の格好で行う「秋の峰入り」という団体での修行が体験できます。
平成5年以降には女性にも、毎年9月6日から9日までの4日間で、同じく山伏の格好で山を巡る修行の道が開かれました。
その他にも、さまざまな修行を体験できる貴重な霊場でもあるので、心を浄め整えながら自然や神々の力を感じたい時など、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。(詳しいご案内については、出羽三山神社の公式サイトをご覧ください)