――本当にそれぞれのキャラクターがさらに掘り下げられ、魅力的に描かれていると感じました。特に思い入れのあるエピソードがあれば教えてください。ちなみに私は魔法使いの後輩ちゃんが娘ちゃんを預かって、娘ちゃんの能力の暴走を鎮めるまでの一連のシーンが好きです(笑)。
かねもとさん:私も同じです(笑)。後輩ちゃんは個人的に好きなので、描いていて楽しかったです。前作では、魔法使いの力をいちばん求めているからこそ悪役になった彼女の、「本当はこんな子なんだよ!」というところを存分に描けました。
あとは神官と拳闘士の合コン回です。神官が本音を吐露するシーンとか。でも全部キャラのことを考えて書いたので、思い入れがあります。
――前作ではSNSからも影響を受けたと話していらっしゃいましたが、今回もSNSからヒントを得た部分はあるでしょうか?
かねもとさん:いろんな話題があがってくるので、毎日勉強中です。「そんな問題があったんだ」と着想を得ることはありました。ただ、とても浅い部分しか描けていません。
読んでくれた人にも私のように「そんな問題があったんだ」と感じて、興味をもってもらうきっかけになれば。
――今回、何より驚いたのは魔法使いの夫の劇的な変化です。一体どうしたらあんなにダメ夫だった人があそこまで素晴らしい変貌を遂げるのか、その過程も見てみたかったです(笑)。ママ友の輪にも入っていける男性は貴重な気がします。夫について思うことや、裏エピソードなどがあれば教えてください。
かねもとさん:夫はもともと楽観的で、自分に厳しくもなく、誰とでも話せるキャラ……という設定でした。だからこそ、伝説の魔法使いという超有名人と、一般人の彼が打ち解けたのかな、と思うんですよね。
ママ友の輪にも入っていけるのは彼の人柄のなせるわざだと思います。彼自身も、「俺、仕事よりこっちのほうが向いてるかも」と思ってるのかなと。
――他のキャラクターについても、本編では描かれていない裏設定や、エピソードなどがもしあれば教えてください。
かねもとさん:士官と後輩ちゃんは、あのあといい感じになったり、ならなかったり……? 神官は、拳闘士が魔法使いたちとのガールズトークで「元カレが」という話をしているのをたまたま聞いて、ちょっとショックを受けたりします。
――前作から、今作までの3年ほどの間に、少しずつではありますが、育児を取り巻く環境も変わってきていると思います。かねもとさん自身も育児をしている中で感じる変化と、そんな育児中の親たちへのメッセージをお願いします。
かねもとさん:SNSではお母さんたちが「これは辛い」「これはおかしい」と言えるようになって、それを目にする機会も増えてきたと思います。そういったことがトレンドに上がることも多いですよね。
現実ではまだまだ変わっていないなと思うことも多いですが、風向きの変化は感じます。
どこかに自分と同じように、問題に対して声をあげている人がいる。それを毎日のようにSNSで感じられるようになりました。
――前作から今作の間にオリジナル作品も描かれていますよね。今後の創作活動についてお考えがあれば教えてください。個人的には、『伝説のお母さん』はキャラクターたちの成長や育児あるあるをもっと見たいので、シリーズ化してほしいです。
かねもとさん:ありがとうございます! 先ほどの答えとかぶってしまいますが、ストックはあるので機会があればやりたいです。
母親になってから気づくこと、伝えたいことが増えたと感じるので、今後もお母さんや女性をテーマにした漫画を描いてみたいです。いくつか考えているので、読んでもらえる機会を作れるようにがんばります。
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ワンオペ問題や待機児童など、それこそ『伝説のお母さん』が誕生する前から問題になっていながらもいまだに解消には至っておらず、現代日本での子育てにはどこか閉そく感があるのも事実。
ですが、“伝説のお母さん”である本作の主人公の魔法使いが次第に周囲の助けも得ながら子育てと仕事を両立していったように、現代のママたちもSNSで声をあげたり、ママ友同士で助け合ったりしながら、現代流の子育てを模索している最中です。
育児の問題を笑い飛ばせる『伝説のお母さん つづきから』には、閉そく感を打破するヒントが満載。「あるある!」と膝を打ちながら、登場人物たちと一緒に育児を楽しんでいきたいですね。