女子受けするイイダコの甘辛網焼き(チュクミクイ) 釜山中央洞

見た目、香り、味、すべてが刺激的な『トゥンボチッ』のイイダコの網焼き

筆者が釜山に行くと最初に食べたくなるのがこのイイダコ焼きだ。小ぶりのイイダコを真っ赤なソースでよくもみ、練炭の火で焼いたもの。ちょっと焦げ目がついたところがなんともいえない。

甘辛くて香ばしくて、ごはんが進むのはもちろん、ビールにも焼酎にもマッコリにも合う。過去、何人もの日本女性をこの店に案内したが、喜ばなかった人はいない。

韓国人にとっては激辛とはいえないレベルだが、日本の人にはまずまずの辛さだろう。火消しにはつきだしとして添えられるおからのスープが活躍する。

トゥンボチッ
中区中央洞1街21 TEL:051-246-7466
11:00~22:50 第4日曜休

具のない海苔巻き+激辛ソースで炒めたイカ&大根キムチ&魚の練り物

『南浦忠武キムパッ』の忠武キムパッは1人前5000ウォン。忠武は統営の旧地名だ

韓国には日本統治時代に入った海苔巻きが姿を変えたキムパッという食べ物がある。日本の新大久保をはじめとするコリアンタウンでもおなじみのファストフードなので、食べたことのある人も多いだろう。

キムパッは肉や魚、野菜などさまざまな具が巻かれているのがふつうだが、韓国南東部の港町・統営(トンヨン)には、忠武(チュンム)キムパッと呼ばれる一風変わった海苔巻きがある。

忠武キムパッには具が巻かれていない。その代わりに、おかずとして辛く味付けされたイカと大根キムチとオデン(魚の練りもの)が添えられる。これは弁当として海苔巻きを持って行った船乗りが夏場、暑さによる腐敗を防ぐためにごはんとおかずを別にしたことが始まりといわれている。

おかずはかなり辛く、日本の人なら汗が出てくるかもしれないが、海苔巻きと交互に食べていると、やめられない止まらない状態になる。サービスとして出る薄味の味噌汁は口直しにちょうどよい。

釜山の忠武キムパッは、光復路(クァンボンノ)から北にのびる「アリラン路」と呼ばれる通りにある路上屋台街が有名で、道端で銭湯の椅子のようなものに座って食べるのが楽しいのだが、もう少し落ち着いて食べたいという人にはBIFF広場に面した『南浦忠武キムパッ』がおすすめだ。

南浦忠武キムパッ
中区南浦洞3街4-1東亜デパート1F TEL:051-246-3435
9:00~23:00 無休

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。