糖質の「摂り方」や「質」に着目して、より身体に優しい食べ方を

糖質を制限したとしても、毎日の食の選び方によって栄養バランスが崩れると、まったく予期しない病気のリスクを高めることになりかねません。

糖質で問題なのは、糖質を摂るたびに血糖値が急激に上がり、インスリン(血糖値を下げるホルモン)が過剰に分泌されることで、内臓肥満や高血圧、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病のリスクを高める、という点。ならば、血糖値が高くなりすぎない、インスリンを大量に分泌させない食べ方をすればいいのでは、ということになります。

そこで、新しい食のライフスタイルとして登場したのが「スローカロリー」。今までは主に、糖質を「どれだけ食べるべきか=量」が注目されていましたが、「スローカロリー」では、糖質を「どのように食べるか=摂り方」に着目しているのが特徴です。

糖質を摂取した後の血糖値の上がり方は、食べる「量」によって異なります。グラフに示すと、同じものでも量をたくさん食べると、より急激に上昇し、急激に下降するカーブを描きます。

ただし、同じ量を食べる場合でも、糖質の「種類」によって描くカーブが緩やかになり、食べる「順番」や一緒に食べる物の「組み合わせ」、さらには食べる「スピード」や「食後の運動」などによっても緩やかになるといいます。そういった研究結果をもとに、より消化吸収の穏やかな、身体に優しい食べ方をしよう、というのが「スローカロリー」の考え方です。

「スローカロリー」の実践方法

  • しっかり噛んで食べる
  • 野菜食物繊維)から食べる
  • 主食炭水化物)だけでなく、主菜・副菜脂質・たんぱく質)も一緒に食べる
  • 糖の吸収を穏やかにする食品(ヨーグルト、乳製品、酢)などと一緒に食べる
  • 「スローカロリー」な糖質を選ぶ白米よりは玄米、白パンより全粒粉パンetc)
  • 基本は、「バランスの整った食事を規則正しく、楽しみながら上手に食べる」

「おいしい食生活」と「スローな糖の吸収」の両立をめざした、いわば“いいトコどり”の方法がスローカロリーといえそうです。万人が、普段の食生活で取り入れやすい方法ともいえます。

このような食べ方により、内臓脂肪がつきにくい、血圧が下がる、集中力が持続する、満腹感が持続するなどの効果が得られるといいます。

もちろん、「糖質をたくさん食べてOK」ということではありません。バランスよく適量を食べれば、満足度が上がり、効率的なエネルギー源になるのが糖質。上手く付き合って食生活を楽しみたいですね。

<出展>
スローカロリー研究会

ライター/女子栄養大学 食生活指導士1級。学生時代からさまざまな体調不良に悩まされたこともあり、健康的な生活習慣について学び始める。現在は専門家を中心に取材活動を行い、おもに食、健康、美容、子育てをテーマにした記事を発信。乗りもの好きな1男の母でもある。