普段、子育てで忙しい中、自分の肌の調子が気になることはありませんか? なんだか肌がカサつきやすくなったり、肌の調子が良くないと感じたりすることもあるかもしれません。

実はそれ、身体の抗酸化力が低下しているサインのこともあるのです。抗酸化力といえば人体に悪影響を及ぼす活性酸素に対抗する力のこと。抗酸化力が落ちると、シミやシワなどの肌老化リスクも高まるため、注意したいところです。

そこで今回は、活性酸素による肌老化におすすめの食品を専門家の解説の下、ご紹介します。

肌がカサカサ…それって抗酸化力低下のサインかも!?

酸化ストレスや抗酸化力に詳しい慶應義塾大学医学部の井上浩義教授によると、肌のカサつきなどは肌のターンオーバー低下からくることがあり、身体の抗酸化力低下の分かりやすいサインだと述べています。

井上浩義教授(以下、井上)「自分自身の抗酸化力が低下しているか、その分かりやすい目安は肌のターンオーバーの低下です。

例えば湿度の高い季節や十分に加湿した部屋で過ごしているのに、肌がカサカサになったり、秋口であれば、夏の日焼けがなかなか治らないといった症状がある場合、抗酸化力が低下しているといってよいでしょう」

酸化によるシミ・シワ肌の老化リスク

そもそも、抗酸化力が低下しているとはどのようなことをいうのでしょうか?

日々の生活の中で、私たちの体内では健康を守るために活性酸素が産生されています。しかし、それが過剰に産生されてしまうと、人体に悪影響が及んでしまうのです。

過剰な活性酸素は、細胞やDNAを傷つけ、シミやシワといったお肌の老化の原因となり、損傷したDNAはがん化する原因となる場合もあるといわれています。

また、脂質や糖質が酸化されていくと動脈硬化などの心血管疾患や生活習慣病などをもたらす要因ともなります。さらにアルツハイマー病やパーキンソン病など、高齢者に多い脳の病気でも、神経の酸化が関与していることが知られています。

そのような恐ろしい活性酸素が日々、体内で産生されているのにも関わらず、人が常に元気でいられるのはどうしてなのでしょうか。それは、人には活性酸素から自分を守る「抗酸化能力」が体内に備わっていることと、外部から「抗酸化物質」を摂取していることが理由です。

人は、食事をするときに「抗酸化物質」という活性酸素の発生を抑制したり、活性酸素を取り除く作用(抗酸化作用)のある栄養成分を取り入れています。具体的にはビタミンCやE、ポリフェノールやカロテノイドといった成分です。

抗酸化成分たっぷりの高カカオチョコレートはおすすめ食品

井上教授によると、肌のターンオーバーの低下が気になる場合には、抗酸化成分を積極的に摂取するといいそうです。

中でも、高カカオチョコレートはカカオポリフェノールという抗酸化成分がたっぷり含まれているのでおすすめとのこと。

そこで、高カカオチョコレートを摂取する場合の疑問点を井上教授に伺いました。

ーーなぜ数ある抗酸化成分を含む食品のうち、高カカオチョコレートがおすすめなのでしょうか。

井上「ポリフェノールは腸からの吸収がむずかしい成分です。一方、食事の成分は油と一緒に取ると体への吸収が高まります。チョコレートには脂分も含まれており、ポリフェノールがとても体の中に入りやすい食品です。

チョコレートを食べるとおよそ30分ほどでポリフェノールの血中濃度が上がっていきます。

またカカオポリフェノールの濃度が高くなるほど活性酸素を消去する力が高いことが学術論文で明らかになっているため、できるだけカカオが豊富に含まれた高カカオチョコレートを推奨しています」

ーー高カカオチョコレートを毎日摂取する場合、1回の量はどのくらいが良いでしょうか?

井上「1日2回摂取すると仮定して、1回の摂取量は10g程度(ポリフェノールとして250mg程度)が無理なく摂取できる量です。また、これは厚生労働省が間食の目安とする1日200kcalにも合致しています」

10gは、市販の高カカオチョコレートでいえば一口サイズのもの1枚が5gなので、2枚程度に相当します。つまり、1日2回、1回の量は4枚というのが目安ということですね。

ーー高カカオチョコレートを料理に入れても良いですか? 溶かすと効果が変わるなどあるのでしょうか。

井上「高カカオチョコレート中のポリフェノールは、一部に熱によって化学構造が変わるものも含まれています。

一方で、そのように化学変化したポリフェノールも抗酸化能力に変化はありません。従って、加熱・調理しても問題ありません。加えて、高カカオチョコレートの特徴である食物繊維も加熱によりその特徴を変化させません」

ーー高カカオチョコレートは、砂糖なしのものでも、食べすぎるとデメリットはありますか?

井上「最も顕著なデメリットは脂肪摂取です。ただし、先ほどの10g程度の高カカオチョコレートは60kcal弱のカロリーですので、食べ過ぎなければ問題ありません」

ーー他に、シミ・シワ予防におすすめの、ポリフェノールを含む食品はありますか?

井上「日本人に最もなじみ深いのはお茶だと思います。近頃は、飲料としてのお茶だけでなく、料理や菓子用に抹茶を常備している家庭も増えています。

お茶や抹茶などを多用途に使用することが推奨されます」