見事な伏線改修
『アイアンマン2』から本作『ブラック・ウィドウ』まで、ナターシャのMCU出演作品は数多くあります。
これらの作品の中で、端々にですがナターシャの生い立ちを語るような単語が、ぽつぽつと出て来ていました。
思い出の? “ブダペスト”
まずは、親友ホークアイとの間で思い出のように語られる“ブダペスト”。
『アベンジャーズ』NYの戦いにて「ブダペストを思い出すわね」「お前とは思い出が違う」と言った会話で出てきており、また『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でヴォーミアに向かう際も「ブダペストからこんなに遠くまで来たな」と、笑い合っていました。
本作では、ナターシャのルーツとも言えるこの“ブダペスト”での出来事についても、きちんと描かれています。
この出来事がなければ、ナターシャは組織から解き放たれる事も、S.H.I.E.L.D.に加入する事もありませんでした。
「どんだけ重要な過去なの? 」と、ファンの憶測を呼んでいた“ブダペスト”の答え合わせがしっかり出来たことも、作品の満足度の高さの1つかもしれません。
訓練施設“レッドルーム”と“不妊手術”
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』にて、ワンダのマインドコントロール攻撃を食らったナターシャが見た、トラウマ的映像。
射撃の訓練や、手術室に連れ込まれる場面、人形のようにバレエを踊らされ続けるフラッシュバックに、ナターシャは大ダメージを受けます。
この場所が“レッドルーム”と呼ばれる、本作の大ボスが牛耳る組織。
そして、レッドルームの訓練の卒業セレモニーとして、子宮摘出手術を受けるのですが、この事についてもナターシャの妹エレーナが、改めて説明してくれていました。
“レッドルームで訓練を受けた”という事実のみ既出でしたが、本作ではどれだけ残酷で凶悪な組織かがしっかりと描かれており、立ち向かうナターシャの覚悟が改めて伝わって来たと思います。
これまでに単語だけ既出だったピースが全て綺麗にハマり、丁寧な解説付きで1人のキャラのオリジンをここまでしっかり描いてくれた事に、ファンとしては喜び以外の感情がありません。
伏線回収の爽快感も得られる本作、絶対に見逃せませんよ!
ナターシャの生き様の全てがここに!
辛すぎる過去を抱え、孤独に生きて来たナターシャは、アベンジャーズに居場所を見つけ、最終的にサノスとの戦いに身を投じて行きます。
本作は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』前の時間軸ですが、ああ、ナターシャはその前に帳簿から赤をきちんと消して、自分で自分の落とし前を付けてから、ヒーローとして死んで行ったのか…!という、いわゆるクソでか感情でいっぱいになりました。
かつて自分を苦しめた組織を崩壊させ、今も苦しむ妹たちを解放し、かつての家族の絆も取り戻し、きちんと落とし前をつけて過去と決別したナターシャ、格好良すぎる。
本作を踏まえて『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』を、また改めて見直したくなりました。
『ブラック・ウィドウ』
映画館 and ディズニープラス プレミア アクセスで公開中