ジョン・サイクス『CAUTIONARY WARNING』(『課長王子』OP)
1999年にWOWOWで放映された『課長王子』からは、この曲を。本作は、ロックスターになる夢を持ちながら、今ではしがない会社員となった元ギタリストの中年男性が、大規模な宇宙戦争のキーパーソンとなってしまうという一風変わったストーリーのSFアニメ。
ロック……しかも、ハードロックがストーリーの中で重要なモチーフとなっており、劇中にも様々な音楽にまつわる小ネタや楽器ネタが登場した作品です。
その作品性に合わせてかオープニングにもバリバリのハードロックが使用されており、WHITESNAKEやThin Lizzyといった有名ハードロックバンドを渡り歩いた名ギタリストのジョン・サイクスが楽曲を提供。ハードかつスピーディーなサウンドで、作品を盛り上げてくれました。
ド派手でテクニカルなギターソロや、ただただ"カッコ良い"としか言い様のないギターリフ、そして、パンキッシュなテイストすら感じられる吐き捨て型のヴォーカルと、ひたすらに"燃える"要素が比較的コンパクトな尺の中にギュッと詰め込まれた楽曲で、ハードロックならではの魅力を存分に味わえるナンバーです。
ハードロック、ヘヴィメタルファンならばその名を知らぬ者はいない有名ギタリストではありますが、その曲をアニメの主題歌にしてしまうという思い切った発想が当時のアニメファンと洋楽ファンを大いに驚かせた本作。
大ヒット作となった『けいおん!』を筆頭に、"バンドアニメ"が数多く制作されている今だからこそ改めて再評価したい作品であり、主題歌です。
Duran Duran『グラビアの美少女』(『SPEED GRAPHER』OP)
MTVが誕生し、数多くの洋楽ヒット曲が日本でも生まれた80年代。そんなエイティーズ・ヒッツの代表的アーティストの一つであるDuran Duranの楽曲『グラビアの美少女』(原題は『Girls on Film』)を主題歌に用いたアニメ作品が、『SPEED GRAPHER』です。
中性的なメイクを施し、ポップなニューウェーヴサウンドを特徴とする「ニューロマンティック」と呼ばれるムーブメントを牽引したバンドとして知られるDuran Duranは、結成から40年近くが経った今も活発な活動を続けるポップアクトの代表格。先ごろ行われた来日公演では、日本武道館でのライヴを大成功させるなど、80年代から現在に至るまで、ここ日本でも根強い人気を誇るバンドとして愛され続けています。
『グラビアの美少女』は、そんなDuran Duranの初期における代表曲の1つで、ファンキーなリズムに、シンセイサイザーを中心としたポップなメロディを組み合わせた、同バンドの音楽的特徴が色濃く出た楽曲。
エイティーズ・ヒッツを集めたコンピレーションアルバムでもお馴染みの曲であり、その親しみやすい曲調は、今も尚、"ポップソング"としての求心力と完成度を保ち続けています。
カメラをモチーフとし、ちょっとエロティックな匂いもするリリックも込みで、アダルトな雰囲気が漂う『SPEED GRAPHER』の作品性ともジャストフィットしていたこの曲。その選曲センスの高さが光る起用に、思わず唸ってしまいます。
YES『ROUNDABOUT』(『ジョジョの奇妙な冒険』ED)
世界的な人気を誇る漫画『ジョジョの奇妙な冒険』は、作者の荒木飛呂彦先生が大の音楽ファンということで、作中のキャラクター名やキーワードに度々、洋楽アーティストの名前が引用されることで知られています。
アニメ化の際にも、その意匠は巧みに作品内に取り入れられ、各シーズンの主題歌に洋楽を起用するという思い切った試みがなされました。
原作漫画の第一部から第二部を描いたファーストシーズンで使用されたのが、英国のプログレッシヴ・ロックバンド、YESの『ROUNDABOUT』(アルバム『こわれもの』収録曲)。元々、ジョジョという作品内において、プログレ関連の引用が多かった(特に、序盤から中盤にかけて)こともあり、ある種の必然性すら感じられる納得の選曲です。
超絶技巧を駆使した長尺の曲が多いプログレッシヴ・ロックですが、本曲も本来は8分以上に渡って演奏が繰り広げられるナンバーであり、それを1分30秒が基本がフォーマットであるアニメのエンディング曲として使用するというのは、かなり大胆なアイデアです。
しかしながら、本作ではエンディングアニメーションのセンスの良さと、各パートを切り分けて使用するという、これまた大胆な演出技法によって、YESを見事に"アニソン"という枠にフィットさせることに成功しています。
これ以降も各シーズンにおいて、The Banglesやパット・メセニー・グループ、Savage Gardenといった音楽性も多用な洋楽アーティストの楽曲がアニメ版のジョジョでは使用され、ファンの耳を楽しませてくれました。
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