産後うつ病の症状は?
織戸「産後うつ病は、出産女性の10~13%に起こり、産後3ヶ月頃までに抑うつ症状が表れ、2週間以上持続します。産後うつ病にかかると大変つらく、育児も困難な状態になっていきます。
症状には次のようなものがあります」
産後うつ病のよくある症状
- いつも疲れているような感じがする(強い疲労感)
- あまり眠れない(不眠)
- 何かに対して不安な気持ちになる(不安感)
- イライラする
- 将来に対する希望が持てない
- 集中できない、物忘れが多い
- 自分を責める
- 食欲がなくなる
- 赤ちゃんのことが心配でたまらない、または無関心になる
- 取り越し苦労をする
- うまく対処することができない
- パニック発作がある(手や足のしびれ感、過呼吸、胸の痛み、動悸など)
織戸「もし上記のような症状があれば、周りに協力していただき、頑張りすぎずに、時にはちょっとした休憩をとりましょう。
マタニティーブルーや産後の疲労は自然に治ることも多いのですが、産後うつ病はとても見逃されやすく、夫にも言えずに一人で悩まれたり、自分でも何が原因かわからず困られています。
放っておくと、母子関係や子どもの情緒面の発達に障害をもたらすことがありますので、我慢せず、症状が持続する場合は保健師さんや、専門医師に相談してくださればと思います。
症状が重くない場合は、夫の育児参加や夫からの言葉かけもでも、ママは元気になると思います」
産後のイライラや不安感などのちょっとしたメンタル不調について
ところで、産後うつ病などまでいかず、病院にかかるまでもない、産後のちょっとしたメンタル不調に苦しむ人も多くいます。
クラシエが、2021年2月に全国の20代~50代の出産経験のある女性を対象に行ったアンケート調査では、64.3%の人が、産後に「イライラ」や「不安感」といった産前にはなかったメンタルの不調を経験したと回答しています。
この病院にかかるまでもない、このような産後のメンタル不調について、クラシエ薬品株式会社 ヘルスケア学術部 主任で、薬剤師資格を持つ宮内ちひろさんは、先日開催された産後のメンタル不調と漢方に関するセミナーで、次のように解説しました。
宮内ちひろさん(以下、宮内)「産後の病院にかかるまでもないメンタル不調の症状としては、不安を感じやすくなった、なかなかやる気が起きない、憂うつだと感じることがあるといったことが挙げられます。
このような産後のメンタル不調の原因はわかっていませんが、一説には、感情をコントロールする脳の神経伝達物質や遺伝、女性ホルモンの急激な変動、妊娠期からの不安、ストレスとなるできごとが重なる、周囲のサポート不足などの外部環境が関連しているといわれています」