みんなを守ることは法でさばくことだけではない
「島を守りたい」という気持ちで繋がる島民たちだが、個々の思惑が重なることで、予期せぬ結末を招いていく。藤原が演じる圭太は、島のヒーローとして島民の期待を背負い続ける。
「『この島を背負っていかなきゃいけない』という気持ちから、死体を埋めて隠す決断をしてしまう。間違った正義なんですよ」(藤原)
松山演じる純は、圭太の死体隠しに協力。寡黙でどこか影があるために、時折見せるクールな表情の奥にあるものが気にかかる。そんな純を演じるにあたって、松山がこだわったことがあるという。
「純なりの思惑があって動いているところがあって。個人的には、純が、ある人物をスコップでぶん殴るシーンにこだわりました」(松山)
「クランクインのときからこだわっていたことなんですよ」(藤原)
「『殴るふりだと面白くないよね』って、そういう話をずっとしていたんです。スコップの素材を変えてやってみたりして」(松山)
もうひとりの共犯者となったのが、神木演じる真一郎。入れかわりに島を出た寺島進演じるベテラン駐在員・岡崎正が去り際に、島のために「かさぶたになれ」と言った言葉が、のちのちまで影響する。
「かさぶたになれなんて抽象的なことを言われたら、どうとでもとれるじゃないですか(苦笑)。岡崎さんももともと島の人で、真一郎もみんなも幼馴染で、岡崎さんの姿を見て育ってきてしまったから、そんな考えが染み付いていたんでしょうね。
警察官になって島に帰ってきて、みんなを守ることは法でさばくことだけではない、という考えが潜在意識にあったために、波風を立てないことが一番平和だと考えたのではないかと。
だから、殺人を『なかったことにしましょう』と言ってしまって、すべてが始まってしまう。結果的には、それが“ノイズ”になってしまうので、一番かわいそうな男の子だと思いました」(神木)